Cyclocross のレースは長さが2〜3kmの周回コースで行われますが、レースをよーいドン!した時に「そのコースを何周するか」は決まっていません。
決まっているのは例えば AJOCC Category-1 であれば「おおよそトップの選手が60分ぐらいのレース時間になるように」ということ。UCI 競技規則では以下の様な表現になっています。
The duration of events must as close as possible to:
競技はできるだけ下記に近い時間で終了するようにする:
JCF 競技規則 5.1.048 より
例えば1周が5分かかるのなら、5分×12=60になるので、では周回数は12周にしよう、となります。
1周にかかるタイムはどうやって決めるのかというと、実際のレースが始まってから実際の「トップ選手が1周にかかるタイム」を計測します。
大抵はレース先頭の第1周のタイムで決めますが、第2周まで計測して決めることもあります。
ちょっと困るのが1周が7分のように中途半端な場合。8周ならば7×8=56分、9周なら7×9=63分。60分により近いのは9周の場合ですので普通に考えると9周になります。
が、それは計算上の話であって、実際には人間がやるスポーツですから色々な要因が絡んできます。たとえば,,,
- ドライ路面だったが、スタート直後から大粒の雨がふりだした。雨が降るとかなり滑りやすいコースになる = タイムは落ちていきそう。
- 先頭集団が形成され、なんだか牽制気味。後半にかけてペース上がりそう。
- 出走人数が少なく、出走選手を見ても力の差が歴然。あまりレース時間を長くしても結果は変わらなさそう。
- スタート直後のトラブルでレース自体が止まってしまった。
- 超飛び抜けた選手が第1周目はメカトラで遅れてしまった。もう持ち直してごぼう抜きを始めている。これからラップタイム上がりそう。
なので、結局はレースのオーガナイザー、コミッセールの総合的な判断になります。
周回数が決定すると「あと何周でゴールか」をしめす周回版がゴールライン付近に表示されます。周回の数はペースの目安にもなりますし、レース展開での勝負をどこでかけるかといった判断材料としては重要ですね。
さて、先ほど Category-1 では60分と言いましたが、実は年齢によって競技時間が決まっています。UCI 規則 5.1.048 からは以下のとおり。
UCI カテゴリー | 競技時間(基準時間) |
---|---|
女子 Under 23 | 40分 |
女子 Elite + U23 | 最短40分、かつ50分を超えないこと |
男子 Junior | 40分 |
男子 Under 23 | 50分 |
男子 Elite | 60分 |
男子 Elite + U23 | 60分 |
UCI 世界戦, World Cup の Elite 男子 | 60分〜70分 |
Junior の下の Youth 年代の基準時間が書かれていませんが、確か30分だったと思います。
国内 AJOCC カテゴリーの競技基準時間は以下のとおり。
カテゴリー | 競技基準時間 |
---|---|
C1 | 60分 |
C2 | 40分 |
C3, C4 | 30分 |
CL1 | 40分 |
CL2 | 30分 |
CL3 | 15分 |
CM1 | 40分 |
CM2, CM3 | 30分 |
その他の U15 や CK1 (Category Kids 1) などの、主に高校生以下の年代カテゴリーについては、年代ごとにおおよその時間が決められていますが、細かい値は地域によってまちまちのようです。
ここまではシクロの一般的なレースでは、という視点でお話してきましたが、スタート前に周回数が決まっている場合があります。
それは「明らかに1周(もしくは2周)でレース基準に達してしまうことがわかっている場合」です。とくに短い時間のレースの場合が多いですね。
「明らかに」というのも難しいですが、例えば事前の C1 レースで1周10分かかっているのに、これからスタートする中学生クラスが10分を切ることはありえないでしょう。
1周で18分かかることが明確で、競技基準時間が20分ならば、1周と決まります。こういう場合、レース前に「xxx のレースは1周とします」といったアナウンスがなされます。
2周になりそうな場合も難しいですね。実際のレース時間を計測しますので、トップ選手が第1周完了→1周の時間から周回数決定→周回板の掲示を開始→トップが第2周を完了するときに残り周回数はゼロ(ゴール)→トップの選手は残り周回数を知るタイミングが無い、となってしまいます。よって、事前に2周とアナウンスしてしまうことが多いでしょう。もしくは「2周でレース終了となりそうなペースで回っている」ことを確認した時点で周回数を決定してしまうのも一手かも。
Cyclocross としては例外ですが、以下の様な場合にも事前に周回数が決まります。
- キンダーガーデン(未就学児童)クラスなどで競技時間関係なく1周と決めた場合
- Challenge カテゴリーや体験ライドなど「ルールに従ったレース」で無い場合
どちらにも当てはまらないのが、イベント的に行われるエンデューロ。規定時間をすぎてからゴールラインを割ったらゴール、となるようです(走ったこと無い)。
個人的には結構周回数は気にしてましたね。選手同士でも「今日6周ぐらいかなぁ」「いや、カテ2で1周7分ちょいって言ってたからもっと行くでしょ」「マジかー」という会話をしてたりします。
コースの作りなどの関係を考えてのペース配分の細かな調整などには影響してくるかもしれませんが、どちらかというと「今日は大体x周!」という気構えができているか方が重要、というか気持ちが楽な気がします。
以上、Cyclocross のちょっと特殊な周回数と競技時間の説明でした!