さて、前回の投稿でコース全体について見てみましたが、今回はスタート周りについて見てみましょう。
レース時間中で最も選手密度が高いスタート。スタートの出来がレースに大きく影響する場合もあり、スタートは全力ダッシュすべき時でもあります。
平等さを保ち、レースとしての危険を分散させるためにもスタートに関しては様々なルールが決められています。
Call-up zone とスタートグリッド
「コールアップ」とは何でしょう。ルールには An assembly area for starters(出走選手のための集合エリア)ともあります。
下位カテゴリーなどではバイクチェックまでは実施されませんが、ランキング順など、要するにあらかじめ決まった順番でスタートに並ばせる必要があります(*1)。
そのため、スタート前に選手を1人ずつスタート並び順で呼び出し、ゼッケンをつけているか、正しいタイヤ幅の自転車であるか、などを確認します。
OK であればスタートエリアに入れ、並ばせます。
この「呼び出し」前に選手が集合するのがコールアップゾーンです。
スタートはロードレースのように前に割り込んでって並んだもん勝ち、とはなりません。
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幅75cm、長さ10mの8つのレーンをスタートラインに直角に地面に標示しなければならない。
自転車1台分の長さはルールには書いていませんね。しかし、たいていは白でマス目が路面に書いてあり、これをスタートグリッドと呼びます。
このグリッド1つ1つに対して選手1人ずつが順に並んでいくことになります。グリッドの並びについてはまたスタートの話の時にでも。
また、このコールアップするエリアとスタートエリアの間には柵を設けること、という規定もあります。
Start section
スタート区間、つまりヨーイドンして前方のエリアのルールについては 5.1.020 より。
- 固い路面であること。舗装路推奨。
- 長さ150m以上、幅6m以上であること。
- できるだけ直線であり(*2)、下りでないこと。
- 頭上のスタートバナー(というか START と書いた横断幕のようなもの)は高さが地上から2.5m、かつスタート区間の全幅をカバーすること。

スタート
で、もう1つあるのですが…
とりあえず JCF の和訳は
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最初のカーブの角度は90度以下でなければならない。Uターンは許容されない。
は?
カーブの角度が90度以下ならば、そもそもUターンしないでしょ?
というわけで UCI の Rule Book 確認してみました*3。
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The angle of the first corner must be greater than 90 degrees. U-turns are not allowed.
最初のカーブの角度は90度以上(だけどUターンは禁止)
ガンバレ、JCF(の和訳担当さんっ)!
真面目な話をすると、スタートの直線でスピードを上がった集団の状態で周回コースに入ってしまうと集団クラッシュが発生するリスクが非常に高いです。それを避けるために、第1コーナーでがっつり減速させて、集団を細長く伸びた状態にしよう、という意図だと思います。
でも Uターン禁止は意図不明。90度以上180度未満。微妙なさじ加減?
- スタートの直線区間の後に最初にコース幅が狭くなる地点あるいは最初の障害物は、突然のものでなく、競技者全員が容易に通過できるようなものでなければならない.
要するに、スタートで前見えてないような連中ばかりだから変なモノ置くな、ということ。
うーむ、結構盛り沢山でしたね。
次回はゴールエリアについてです。
*1: レースによっては「速いもの順」を採用しているところもあります。それもまたレース。
*2: 「できるだけ」であり、must ではなく、must be as straight as possible とある。
*3: JCF 和訳で目を疑ったので眼科に行きました google 翻訳もしてみましたが、あってましたw