今回のネタの着想は Tankograd Central(自転車研究所) より頂きました。日本選手の UCI Point についてもまとめられています。UCI のページで UCI Point のランキングに国やら年齢やら載ってるとは嬉しいですね(誰が?)。早速まとめてみましょう。
まずは予備知識を。UCI Point は52週のローリングランキング、と表現されます。規定としてはシクロクロスの競技規則の5.2.003あたりに見られますが、要するに
- UCI レースでの獲得ポイントを積み上げて多い順に順位を付ける
- 1年以上前のポイントは加算しない
- ランキングは UCI の発表によって更新される(発表が無ければ順位変動はしない)
というものです。何が言いたいかというと、UCI の発表があるたびにドンドン変わっていくランキングで、今日123位、明日456位、明後日222位ってこともあり得るわけです。本記事では 2017/2/3 時点でのデータを利用しています。世界戦が終わった直後だから、ちょうどいいかな?
今回は女子 Elite を見ていきましょう。
国別選手数
UCI ポイント持っているからと言って「強い国」だとは限りませんが、1つの指標になるでしょう。というわけで国ごとに UCI ポイントを持っている選手の人数をカウント。
人数が10名以下の国は「その他」に合算(*1)。
アメリカが飛び抜けて多い77名。これは純粋にアメリカ国内の UCI レース開催数が多い、それから国外からの参加者も少ないため、ポイントも奪われにくいからでしょう(参考→17-18 UCI カレンダー)。
逆に大国ベルギーが21人だけ!オランダより少ないは分かるとしても、シクロクロスにはアウェー感のあるイタリア、スペインよりも少ない数になっています。
考えてみると、確かにワールドカップなど UCI レース開催は多いですが、周りの国から遠征してくる選手も多いためポイント獲得争いが熾烈なのかもしれません。それとも女子は意外と人気ないのか?
続いてさらに強い選手ではどうよ、ということで UCI ポイントランキング上位100名で見てみましょう。
割合としてはアメリカとその他、それからスペインが減。フランス、ベルギー、オランダが目立っていて、全体的にはそこそこ僕のイメージどおりという印象。
日本の4名は坂口(59位/U23)、武田(74位)、與那嶺(82位)、今井(93位)。武田が中国で UCI ポイントを獲ったぐらいで、後は日本国内レースで稼いだポイントでの順位。UCI ランキングがスタートの並び順に影響してくるので、意外と稼げているようです。
*1: UCI ポイント所持者10名以下の国は以下の通り(Elite人数-うちU23人数)
- アルゼンチン (1-0) ←どこで UCI ポイントゲットした?
- オーストリア (10-2)
- チリ (3-0) ←どこで(以下同文
- デンマーク (10-4)
- エストニア (7-3)
- フィンランド (6-2)
- ハンガリー (7-2)
- アイスランド (2-1)
- アイルランド (10-0) ←イギリス近い
- ラトビア (1-0) ←ごめん、どこだっけ?
- ルクセンブルグ (7-2)
- ポーランド (10-5)
- スロバキア (9-6) ←U23多めで◯
年齢別選手数
ここまでの2つのグラフをみると、意外と黄色のグラフ、つまり U23 の割合が高そうだ、というのがわかります。男子 U23 は19〜23なのに対し、女子の Under23 は17〜23歳。その分だけ男子より U23 選手数が多くなります。
年齢ごとの UCI ポイント所持者人数を数えてみましょう。
なんと Under23 以下が多い!高校生年齢の17,18がもっとも多く、大学生年代が続きます。25歳の凹みは「就職したら一段落」?その後も競技を続ける人は35歳ぐらいまで、と人生の縮図が見えそうなグラフですね…
女子 Under23 のレースが Elite とは別口で開催されることはほとんどなく(*2)、U23 の方がポイントを稼ぎやすい、というわけではありません。純粋に人数が多いのでしょう。
上位100選手のみ(Top100-)で Under23 に注目してみると、さすがに割合そのままとは行きませんが、やはり23以上の年代よりも選手層は厚いように見えます。
*2: ナショナル選手権で女子 Under23 が開催されている国も結構あって、16-17シーズンの U23 レースは19レース(世界戦など含む)。
Under23 選手数
1番最初のグラフを見返してみましょう。
チェコから左はヨーロッパ。それより右がそれ以外。眺めていると、
「右の方青いところが多くね?」
ってこに気づきます。 つまりは U23 が少ない。逆にヨーロッパは U23 が多く、もしかして半数以上?というわけで U23 の選手数の割合を出してみると、
おっと、本当にヨーロッパ半数以上が Under23 でした。
それに対して欧州以外は約2割ぽっち。日本も全18人に対して U23 が3人で16.6%と最低レベル。こんなに違うものか…
競技者目線では「やはり若い選手が多い方が」と考えてしまいますが、それでは毎度なので、今回は視点を変えて考えてみましょう。
ヨーロッパ以外のエリアで Under23 が少なく、それより上の選手が多い。ということは高校・大学を出て、就職して結婚してと人生が進んでいってもシクロクロスを続けられる環境・社会が整っているということでは無いでしょうか。ヨーロッパではスポンサーの付いたプロは多いが、アマチュアレーサーはそれほど多いわけではないと聞いたこともあります。シクロクロスってお金かかりますし。
楽しく続けられるのっていいことですよね!個人的には全日本取れなかったから全部おしまい、というのもキライじゃありませんが、アマチュアスポーツとしては日本、アメリカともに悪くない感じで広まっていて、年齢が進んできてもチャレンジできるようなスポーツになりえているのかなと思います。
ま、もちろん次の世代が増えて世界で活躍して欲しい、という願望はみんな持っていますが、ね。
まとめ
以上、女子 Elite の UCI ポイント所持者について見てみました。
U23 選手数以外の点では、ベルギーの選手が少なかったのが意外でしたね。少数精鋭なのでしょうか。確かにベルギー男子ほど圧倒的では無いですので、まあイメージどおりかもしれません。
次回は男子!さてはてアメリカ、Under23 の選手割合はどうなることやら。