UCI Code から UCI ID へ(1)

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実は今年2017年の1月1日から UCI Code が事実上廃止され、UCI ID というナンバーが新設されています。

今回はこの UCI ID がなぜ今になって出てきたのか、という経緯を見ていきましょう。

What is UCI Code ???

そもそもユーシーアイ・コードって何?

UCI Code とは、UCI ライセンス取得者に対して割り当てられるコード、つまりは ID のようなものです。和風に言うと識別番号。唯一無二であること。

例えば山田太郎という名前の選手が複数名いたとして、名前だけではどちらの山田君なのかわかりません。また、結婚して鈴木太郎になったりしたら名前だけでは同一人物であるかはわかりません。なので、こっちの山田くんは123番、こっちは245番というったように、ユニークな番号やコードを付けて管理しましょう、というのが識別番号の趣旨です。

上記のような違いを見分けるためにも AJOCC コードや JCF 番号があるのですが、同様に UCI 登録者についても UCI Code という認識番号が設けられていました。

UCI Code orz,,,

この UCI Code は在住国(*1)と生年月日を組合せた11文字のコードになっています。

例えば日本在住、1999年の12月3日生まれの人の場合「JPN19991203」というコードになります。日本の2012年3月4日ならば「JPN20120304」。

,,,

待て待てい!これじゃ山田太郎と同じじゃないか。

そう、同じ国の人間で生年月日も同じだったら同じコードが発行されることになります。名前違ったとしても!

誰だ、これ考えたやつ、、、いや待てよ。JCF が時代錯誤の運用してて日本だけでこうなっているのか?そうだよな、そうあってくれ。

と、思いましたが、調べてみると racement.com というサイトの記事

the UCI code consisted of the rider’s country and date of birth which caused a problem whenever two riders from the same country were born on the same day.
(著者訳: UCI コードは選手の国と生年月日からなっているが、2名の選手が同じ国で同じ日の生まれだと問題となってしまう。)

とあり、国+生年月日でコードを作る、というのは世界共通だったもよう。

UCI 何やってんすか。

*1: 在住国ではななく国籍かも。でもフランスで取得したら FRA になりそうな気もする。

スーパー蛇足タイム。ちょっと計算してみましょう。

UCI 登録者について、生まれ年が同じ選手が50人いるとします。ロード、MTB を含めればそれぐらい居ますよね?それらの選手が全て異なる誕生日である確率は

1 x 364/365 x 363/365 x 362/365 x 361/365 x ,,, x (365-50)/365
= 364P49 / (365^49)
= 0.029626,,,

というわけで3%!

ってことは、97%の確率で生年月日がバッティングするってことですよね。どうやって運用してたんだろう。

Next, LICENCE No.

まあしょうがない。例えば IP アドレスだってこれだけ増えるのを予想できていなかったそうだし。同じようにこんなに UCI 登録する選手が増えるとは思っていなかったのでしょう。

そして UCI も手をこまねいていたわけでは無さそうで、僕が現役の時には UCI ライセンス上にはライセンスナンバーというものが記載されていました。

手元に昔のライセンスが見当たらないので http://nobeyamacyclocross.cc/?p=185 の画像を見て書いてみました。

2012 UCI ライセンス(赤文字は筆者による変更)

UCI コードとともにライセンスナンバーが記載されていますね。なぜかアンダーラインで強調されています。

なるほど、UCI Code ではなくもう1つナンバーを設けてそれで管理するようにしたのか。いや、それだったら UCI Code はもう要らないような気もするが、何かの都合だろうか。まあ、UCI Code 問題は解決したし良いか。

と、その時は一人合点していたのですが…

次の年かその次の年に、ライセンスカードに記載されている番号が変わっていることに気づきました。

(以下システム屋的視点→)おいおい、リザルトとか UCI ポイントとか管理するのだったら1人が1つの番号を持ち続ける方が良いよね?ってか変える意味あるのか?設計まちがってるぞ。

というわけで、実はこの LICENCE No. は JCF が UCI 登録者を管理するために独自に設けたナンバーじゃないかと僕は思ってます(中の人教えてください)。UCI のルールブックにも無かったみたいだし。

余談:名詞としては LICENCE はイギリス英語で、USA では LICENSE が一般的とのこと(参考: http://www.toishi.info/email/license_licence.html)。

UCI ID came!

というわけで、UCI Code という前時代的なものを廃し、新しく識別番号を振り直しましょう、というのが今回の改定なわけです。

細かい内容は次回にまわしますが、UCI ID は11ケタの数字による番号。多分 LICENCE No. のようにシーズンによって変わることもないでしょう。

だがしかし。

というかちょっとひっかかる事があります。今年 JCF ライセンスを取得した人はライセンスを見てみましょう。

なぜか UCI Code が記載されています。

UCI ルールブックを見ると UCI Code の記述は全て削除され、UCI ID によって置き換えられています。UCI としては UCI ライセンスについては UCI Code をもう使わないヨという意向と読めます。

が、JCF ライセンスにまだ UCI Code 載ってるのは何故?JCF は今季からネットワーク経由でのライセンス発行システムを開始しており、それとの兼ね合いで間に合わなかったのか、とか想像します。UCI ID にするからね、という UCI から JCF への通達は2017/1/1以前にあったとは思いますが。

過去との整合性のために載せるのは理解できます、と言いたいところですが JCF ライセンス上には Nationality と Date of Birth が載っているので意味なし。相変わらずフットワークが重いなあという印象。

まとめ

というわけで、UCI ID 登場までを振り返ってみました。

次回は UCI ID が実際どういうものなのか、何に使われるのかなど書いてみたいと思います。