さて、今回は障害物のルールを確認してみましょう。UCI ルールでは 5.1.022〜5.1.024に記述が見られます。
障害物(Obstacles)
そもそもここで言う「障害物」とはなんぞや。
人工のものと自然のものがあると思いますが、自然物についてはコースの設定で
コースは、天候などいかなる状況においても乗車可能でなければならない。(5.1.013 より)
と規定がある程度。自然のモノであれば、コース全部が砂でも良いのかもしれません(*1)。
さて、人工の障害物。人工である、という条件と
障害物とは、競技者が自転車を降りるような(しかし必ずしも降りることを要しない)コースの部分である。(5.1.023より)
というのもあります。自転車に乗車したまま超えられるフライオーバーなどは数としてはカウントされない、ということになります。
そういった障害物として該当するとなると、
- シケイン
- 階段
- 人工の砂セクション
- 人工の泥沼セクション
といったところでしょうか。BMX のデコボコは乗車していけるのでここでの障害物には含まれませんね。
さて、これらの人工障害物のルールは以下の通り。
- 1つの障害物区間は80m以下
- 障害物の高さは40cm以下
- 障害物区間の総延長はコース全長の10%以下
- 人工砂セクションは40m〜80m、最小幅6mで直線区間にあること。また、入り口と出口が水平であること。
階段自体は40cm以上になりますが、ステップの高さは40cm以下でないとダメそうですね。砂場の最後のルールについては入り口と出口の高さが同じであれば、という書き方で、フラットでなければいけないというわけでは無さそうです。登り降りする砂セクションなんてオーガナイザが面倒くさいでしょうから作らないとは思いますが… 砂セクションの最低長さの規定があるのが面白いですね。
その他の基本的なルールは以下の通り。
- スタート区間、フィニッシュ区間には障害物を設けてはならない。(5.1.022)
- 階段(筆者注: 英語では steps)を飛び降りるような下りを設定してはならない。(5.1.023)
*1: ただし路面が固いこと、という条件の付くスタートは除く。
シケイン
障害物といえばシケイン。
簡単に言うと、40cmほどのハードル。UCI ルール上では plank と書いてあります。JCF の和訳では厚板。
ロードレース基準の感覚ではあり得ない障害物。当然、ほとんどの選手は直前に自転車を下りて→自転車を持ち上げ→越えて→少し走って→自転車持ち上げ→越え→自転車に飛び乗る、という動作を行ないます。
バイクに乗ったままジャンプ(バニーホップ)して超えていく猛者は人気者になれるでしょう。
シケイン区間のルール以下のとおり。
- シケイン区間はコースに1箇所のみ設けることができる(無くても良い)
- 2つの厚板で構成されること
- 厚板同士の間は4〜6m
- 厚板は鋭利でなく金属製でないこと(木製が多い)
- コース全幅であること
- 40cm以下の高さであること
- コースが以上に滑りやすい場合は協議の上シケイン区間を無しにできる
筆者も認識不足でしたが、厚板1枚だけのシケイン区間は厳密にはダメのようですね。関西クロスには15cm高の連続ステップがありますが、多分このシケインセクションには含まれないと思いますが、どうなんでしょう。よくわからず。
それから、2016/7/16 に追記されたルールに以下のようなモノがあります。
上記の板のどちらかまたは両方を、場合により1本または2本の木の丸太に置き換えることができる。丸太を使用する場合,最大の太さは40cm以下とする。その他の点で,板の仕様に適用可能なすべての規則は丸太にも適用されるものとする。
要するに人の手で作ったシケイン(厚板)の代わりに丸太でもいいよ、というルールです。
といっても以前から丸太とか牧草ロールみたいのは有名レースでも使用されていたようで、今回のルール追記はそれを明文化しただけだと思われます。
オーガナイザが趣向を凝らす障害物。下位カテゴリーでは特に、これらをどう攻略するかで結構差がついたりします。脚だけでは勝てないのがシクロクロスの面白いところですね。
以上、障害物のルールでした!