UCI Code から UCI ID へ(2)


前回に引き続き、新しく設けられた UCI ID について。今回はその実際を見てみましょう。

ルールブックの変更点は以下のリンクにまとめられています。英語。
http://www.uci.ch/mm/Document/News/Rulesandregulation/17/68/12/1-GEN-20170328-EN_English.PDF

他の情報はネット上で見つけたものが中心。

What is UCI ID?

概要としては facebook で見つけた Le Samyn des Dames さんの記述がわかりやすい。

  • ユニークな11ケタの数字
  • 123 444 567 89 というように読みやすいように区切られる
  • 1人の選手・審判として競技人生を通じて同じ番号を使用
  • UCI レース、大陸選手権、国内選手権に参加する選手に与えられる
  • それらに出場しなくても UCI ID はライセンスに記載されるかも
  • UCI ID が記載されたライセンスを発行するのは国内選手権の責任

UCI ルールも見てみましょう。ざっくり和訳でどうぞ。

  • 国内選手権はもちろんUCI カレンダーのレースに参加可能な選手(a)には UCI ID が付与されなければいけない。(※ susceptible of = が可能な)
  • その選手に UCI ID を与えるのは各国競技連盟の責任
  • UCI ID は UCI から各国競技連盟に提供
  • 選手が最初にライセンス申請したときに UCI ID が割り当てられる
  • UCI ID はカテゴリーや発行競技連盟にかかわらず、選手のどんなライセンス上にも表示されなければいけない
  • (a)以外の選手についても UCI ID が発行されても良いし、各国競技連盟が定めた識別番号が与えられてもよい
  • その他の審判などにも UCI ID が与えられ、ライセンスに表示されること

「どんなライセンス上にも表示されなければいけない」shall appear on any licence he may hold.とありますが、JCF ライセンスも含むのでしょうか。全日本出場資格ある選手なら、というか UCI ID が発行済みの選手なら JCF ライセンス上にも記載して欲しい所ではありますが。

ちなみに UCI ルールブックには11桁だとか見やすいように区切るとかは全く書いていません。

また、ライセンス上の記載項目にも変更があり、

  • UCI ID
  • UCI ID required (not yet holder of  UCI ID but  necessary for following season) : yes/no
    UCI ID が必要であるか(未取得であるが、次のシーズンに必要か):yes/no

が表示されなければいけません。

後者は日本の UCI ライセンスで考えると今ひとつ意味わからず。UCI ライセンス取った時点で UCI ID 持っているはずですから。海外で1月に開催するシクロクロスの国内選手権対策かな?

UCI ID と DataRide

ちゃんとユニークな管理番号が与えられるのでリザルトが正しく、UCI としては簡単に管理できるようになるでしょうが、それだけでしょうか?

じつは UCI ID で検索するとこんな資料が出てきます。ヘッダーに UCI のロゴが貼ってあり、内容からするに UCI から各国競技連盟に対する資料のようです。内部資料っぽい感じもしますが、まあいいや。

ここの Q and A に沿った形で進めてまいりましょう。

Q1: UCI ID って何?重要?

  • (11ケタだよ、とか省略)
  • スポーツでも一般生活でもデータが果たす役割は大きくなってきたので、UCI もデータの集積と利用を強化する必要がある。僕らは自転車界の管理者であるが、これまでのデータはまとまっておらず、利用は難しい。

確かに数字なんてコンピュータに管理させて、人間は運用に注力するのが現代式ですよね。

Q2: うちの国には数万人の選手がいるけど、90%の選手は UCI の国際レースに出ないよ。それらの選手全てに UCI ID は必要なの?

  • UCI ID は UCI レース、大陸選手権、国内選手権のリザルトを集積管理するために必要だ。
  • これらの大会に出場する選手とそれ以外を分けて管理できるのであれば、UCI ID をライセンスに表示しなくてもよい。
  • 小さな規模の競技連盟ならば UCI ID 関連の権限渡す。その場合には全ての競技者に UCI ID が振り分けられることになる。

この文章から推察するに、日本で言うと JCF ライセンス番号を全て無くして UCI ID に切り替えてしまっても良いし、現状の UCI ID と JCF 番号の併用のままでも良さそうです。ただ、選手としては識別番号なんて少ないほうが良いのだから、UCI ID に統一して欲しいところ。

Q3: 何が良くなるの?

  • UCI ID によって選手のリザルト・ランキング・経歴(ドーピング関連とか?)、それから審判の優先レース・報告・育成などにも役立つ。
  • 僕らはこれらのデータを競技連盟と関係者に提供し、使ってもらう予定だ。

Q4: いつから?

  • 今から!(2016年9月)
  • 2016年4月には全ての各国競技連盟にこのプロジェクトが通達された。
  • 2016年8月には各国競技連盟に接続情報の詳細(担当者など)を提供してもらった。
  • 2017年1月からは UCI レース(各国選手権含む)の全てのリザルトは新しいデータベースに電子的に提供される。
  • そのため、上記のレースでは UCI ID が必須となる。

Q&A 文章の発行日が9月で運用開始が年明けから。

「今から!」って辺りに見切り発車感が…。大丈夫か?

Q5: データの守秘義務について。

この項は意味が取れなかったのですが、「UCI 登録したら生年月日とか公開されるからよろしくね」というように UCI の規則を変更し、ある程度の個人情報も公開できるようにする、という意味だと思われます。性別とか生年月日とか必要ですよね。

Q6: 次は?

  • 現在 (2016/9) で UCI ID により、 UCI ライセンス取得者リストを UCI データベースで閲覧でき、以下の情報を含んでいる。
    • 過去3年間に UCI カレンダーのレースに参加した選手
    • 国際審判とテクニカルデリゲート
    • その他審判
  • 2016ライセンスを埋めくるために「UCI ライセンスを取得したけど UCI レースに出場しなかった人々」のリストを下さいって頼んだよね?
  • 早くよこせ。

Q7: それから?僕らは2017ライセンスをすぐに発行すべきなの?

ここからはちょっと専門的な話なので簡単に。データをどうやり取りするか、という話になります。

  • もし、専門のウェブサービスを持っているようならば、10月の半ばごろまでにはネットを通じて UCI につなげて UCI ID を取得できるようにするよ。
  • ウェブサービスとか知らんという所は、とりあえず手作業でやろう(Excelのリストやりとり?)。機能が完成したら権限渡すから、発行なり変更なり勝手にやってくれ。
  • 中くらいの規模の競技連盟については選手数も多いだろうから、適切なファイルやりとりでできるようにしよう。

要するにまだできてないけど、ちょっとしたウェブシステムを作って UCI とつなげるか、ファイルをやり取りして手動でやるか、違ったインターフェイスで UCI にデータ提出するか、ってところでしょうか。

各国競技連盟としては面倒だろうなぁ。UCI の中の人も面倒だろうなぁ(苦笑)。

Q8: UCI はデータで何をするの?

  • データは自転車競技を適切に管理するためだけに使われること。
  • UCI は第3者に情報を提供しないし、
  • ライセンス保持者に連絡することもない。
  • 将来的には選手が直接アクセスして自分の情報を直接アップできるようにするつもりだが、それは2018年ぐらいかなぁ。

この文章には書いていませんでしたが、”DataRide” というのが UCI が作った新しいライセンス・リザルト管理システムの名前のようです。

DataRide

なんか専門的な話が多すぎてアレなので、ざっくりまとめ。

  • UCI ID でちゃんと管理できるようになったよ。
  • DataRide っていう新システム作ったよ。
  • 各国競技連盟は DataRide のやり方でライセンス発行・リザルト提出などしてね。
  • そのうち選手の直接ログインして色々できるようになるかもね。

UCI ID 以外の部分については、とりあえず数年間は選手にとっては関係ないかもしれませんね。

 UCI ID はどこに?

さて、ここからは日本の選手目線でのお話。

今年から全日本選手権と国内で行われる UCI レースについては JCF ライセンスで出場できるようになりました。

しかし待てよ、

  • 先の Q2 から考えるに、上記レースに出場する選手は UCI ID を持っていなければならない。
  • だが、JCF が発行した2017年ライセンスには UCI ID は記載されていない。
  • また JCF からは UCI ID に関するアナウンスはない。
  • よって、現時点では選手自身が自分の番号を知る手段が無い…

「UCI ID 無いのにどうやって UCI レースにエントリーするねん。」

せっかく設けた識別番号ですが、使わなければ豚の真珠。

一番の問題点は3つめの「JCF のアナウンスが無い」ということ。どうするつもりかぐらいは早めに知りたいですね。ロード&MTB はもう始まってるけどね。

ただ、全日本・国内UCI のどちらにせよ国内レースであり、JCF が運営に関わるレースですし、出場選手は少なくとも JCF ライセンスは持っているはず。ということは JCF は JCF 登録ナンバーから UCI ID を特定することはできるはずなのです。なので JCF ライセンス持っていればどうにかなりそうな気はします。

冒頭の方にも少し書きましたが、

(1.1.006.2a)
The national federation is responsible for ensuring that all riders susceptible of taking part in the aforementioned events are given a UCI ID.
前述のレースに出る資格のある全ての選手に UCI ID の付与をしっかり行なうのは各国競技連盟の責任である。

と、バシッと書いてあります。UCI の責任丸投げ押し付けではあるのですが、そこまで面倒みれないからちゃんとやってね、というところが本音でしょうか。

そんなわけで(UCI の競技規則を読んでいれば)JCF も裏でちゃんと UCI ID を割り振っているでしょう。

しかしやはり何らかのアナウンスは欲しいぞ。

まとめ

DataRide については UCI のシステムがまともに動いてない、JCF も人によって運用方針が異なる、といった噂も聞こえています。

新しいシステム、しかも世界をまたぐ規模のものなので、試用期間が2,3年あってもいいと思うんだけどなぁ。Q&A 文章のノリなどを見るに、UCI もとりあえずスタートしちゃった感をひしひしと感じます。

ただ、選手にとっては UCI ID が付くという点以外変わらないかもしれません。逆に運営側にとっては新システムがスタートということでかなり大変になりそうな予感大。UCI レースの時は選手は差し入れをそっと持っていきましょう。

UCI ID は作られるべくして作られたという印象。悪く言えばやっとやったか。UCI 自身としても管理はしやすくなるでしょう。

DataRide は長い目ではレース結果を UCI のサイトで見れたり、より便利になる改善だと思います。運営側にとっては手間として面倒かもしれませんが、UCI および各国競技連盟には頑張って欲しいですね。

以上、UCI ID にまつわるエトセトラでした!

スポンサーリンク