ルール」カテゴリーアーカイブ

残留する?しない?

来週末3/12で今シーズンの AJOCC レースは終了ですが、この時期はカテゴリー残留できるかどうかが気になるところ。今回はその基準の細かいところについて確認してみましょう。

(内容については確認取ったのでほぼ公式情報。)

まず、降格が発生するのは以下のカテゴリー

  • C1, C2, C3
  • CM1, CM2

そのシーズンに昇格した選手は降格対象となりません。CM4 は自由参加型カテゴリーなので CM3 からの降格なし。女子 CL も降格は無し。

AJOCC のルールページには以下のように記載があります。

以下の残留基準を満たさない者はシーズン終了後に降格となる。
・出走人数を基準にして1/4(25%)以内の順位 1回以上の実績を残した者
・出走人数を基準にして2/3(66%)以内の順位 3回以上の実績を残した者

うーん、ちょっとわかりにくいかな?残留チケットという概念で考えてみましょう。

  • 例えば40人出走のレースで
  • 10位以下ならば25%以内 → 残留チケットを3枚をゲット
  • 26位 (=65%) 以内 → チケット1枚獲得
  • 同様にして、シーズン終了時までにチケットを3枚以上集められなかったら下のカテゴリーに降格!

カテゴリー複合型の C3+4 のレースについては C3 所属の選手は C3 残留チケットが、C4 所属の選手は C4 カテゴリーの残留チケットが与えられます。

%な値は一般には「順位パーセント」と呼ばれており、算出方法は以下の通り。

順位% = 順位 / 出走人数 x 100
※ 小数点は切り捨て

はい、ここテストに出ますよ〜。「小数点切り捨て」です。

例えば103人出走のレースで、69位ならば69/103×100=66.99029,,, となります(*1)。

「2/3の順位」という基準では2/3×100=66.666,,,<66.99029,,, なので 2/3 という基準を満たしていないように見えてしまいます。しかし小数点切り捨てなので順位%は66となり、無事に残留切符1枚ゲットだぜ、ということになります。

小数点は切り捨て!

25%の計算についても同様に小数点切り捨て値で判断されます。というか25%基準で走っている選手なら十中八九もう大丈夫なところに居るでしょうけど、ね。

以上、残留の基準詳細でした。

残留かかっている選手は週末ガンバれ〜!

*1: ちなみに出走人数が103人より少ない場合には、順位/出走人数x100が66.66,,,<x<67.0となる順位xは存在しない。

80%ルールとUSA運用ガイドライン (3)

前回に続き、USAC が提示したレース運用のガイドライン。今回はレーススケジュールと時間調整についての提言を見てみましょう。

※ちなみに、80%ルールの話だけだと勘違いしてましたが、表題”CX Best Practices(For Race Director and Officials)”の通り、レース運用の全般についてのガイドラインになっていますね。

以下本文中の (*ホニャララ)は僕のコメント、ツッコミなど。


スケジュールと時間配分

レースの時間配分

運営が作ったスケジュールと選手の動きがマッチするためには、レースの時間をどう計算するかを考えることは重要だ。普通は第1周の、もしくは第1周と2周の平均タイムを使い、トップ選手のゴールがあらかじめ決められた規定時間程度になるように周回数を決定する。40〜45分を超えるレースなら、1,2周の平均タイムで決めるのが良いだろう。以下の項目にも注意。

  • コース距離と予想周回タイムは?
  • レース間隔(時間の差)はどれだけある?
  • トップ選手と最下位選手のラップタイムの差は?
  • レース中にラップタイムが激しく落ちる可能性がある?(削れたり崩れたりといったコンディションの変わるコースや天気)

例を挙げてみよう。

  • 9:00スタートのレース
  • レースの規定時間は40分
  • 先頭が7:00で走った→レースは6周回と決定される(42分になる)
  • しかし、周回遅れでない最後尾の選手が8:00+α/周で走ったとすると、レースは実際には42+8=50分となる。
  • もし、次のレースが9:45だとすると重なってしまう。

スケジューリングをするとき、以下のことを考えよう。

  • 前のレースが進行中に次のレースの選手を並ばせたいのならば、スタートエリアをコースとは分けるべきだ。(* スタートループをつくれ、ということ。)
  • レース先頭がゴールした後、最後尾の選手がラスト周回をこなすだけの十分な時間があるか?
  • 次の出走レースに対して、ウォームアップを考慮したコース試走がどれだけの時間設定されているのか。(*翻訳怪しいです)

レーススケジュール作成とカテゴリー

以下は経験のあるレースディレクターからの提言であり、スケジューリングに役立つであろう。

1. もし混走レースならば、能力・スピードの近いカテゴリーを一緒にすると良い。例えば、中高生ならマスターズと一緒でも良いかも。こうすることで、周回遅れがレース先頭にバッティングすることも減らせる。

2. 混走ならばゼッケンを認識しやすいように分けること。例えばマスターズ35+カテゴリーと55+カテゴリーを混走でやるならば、ゼッケン番号は301〜350と501〜550というように分けるのが良い。運営、選手、計測屋にとってもわかりやすい。カテゴリーごとに異なった色付けやスポンサーロゴなどがあるとさらに良い(とくに選手にとって)。また、一方のカテゴリーのゼッケンを昇順(101,102,103,,,)に、他方を降順(299, 298, 297,,,)で割り振ると良い。こうすると十の位が別々になり、リザルト集計もよりやりやすくなる。

(* 昇順降順のところがよくわからないが、おそらく、それぞれのカテゴリーが50人以下であればという条件で、百のケタだけでなく十のケタもカテゴリーによって異なる数字になるので、さらに見分けやすくなっていいよね!ということだと思われる。マニアックすぎる。)

3. 出走者のキャパシティをかんがえること。1つのコースに200人の選手をOKとすることは可能かもしれないが、選手にとってはあまり良くないだろう。出走人数を増やすために長い、もしくは速度の上がらないコースを作っても良いが、ピットの能力に大きく影響するだろうし、先頭がゴールしてから最後尾がゴールするまでかなりの時間がかかってしまうだろう。

4. 混走レースならば、第1グループ(*=早い方のグループ)の先頭がゴールしたら、それ以降の全ての選手をゴールとする方式は時間の節約になるが、それでも他のレース体験を損ねることはない。

(* たとえば C2 と CM1 が混走のレースをして、C2 の先頭が CM1 より先にゴールしたとしたら、それ以降にゴールラインを超えた CM1 選手もゴールとしてしまう、ということ。もちろん周回数が考慮されるので、C2 先頭ゴールの後にCM1選手1番にゴールライン超えたからと行って CM1 の1位になるわけではない。現実的に混走レースでカテゴリーごとにゴールタイミングを違うくするのは難しい。)

5. 混走同時スタートはまれに必要となる。しかし、同時スタートの数はなるべくすくなくするべきであり、時差スタートの場合の時差は小さい方が良い。第1出走グループの数分後に出走するなどとしたら、周回遅れによる影響が多数発生してしまう。例えば7分/周のコースで4グループが1分置きに出走するのであれば、最終グループは第1グループが半周したころにやっとスタートとなってしまう。

例: 以下の出走スケジュールがレース運営にどう影響するかを見てみよう。

状況: レースは Women1+2, Women3, Women4 のカテゴリーをこの順で約1分置きでスタート。先頭はレース時間40分で、ラップタイムは7分ぐらい。考えるべきことは、

  • Women4 は先頭から2分遅れでスタートとなり、周回遅れが多数発生するだろう。
  • もしレース全体の先頭を基準として80%ルール適用もしくは周回遅れ除外をおこなったら、Women3, Women4 の多くの選手が除外されてしまうだろう。
  • レースの先頭の選手は渋滞に巻き込まれるだろう。
  • 現実的に、審判も Women3, Women4 の先頭選手に影響しないように除外処理をすることは不可能だろう。
  • 明白に異なるゼッケンナンバーを用いるとリザルト集計が楽になる。例えば Women1+2=201から発番、Women3=301から発番、Women4=401から発番、とか。異なる色のスポンサーロゴだとなお良し。
  • レース先頭がゴールした後、最後尾がゴールするまでにどれだけ時間がかかるを知るためにも、最も遅いカテゴリーのラップタイムがどれぐらいになるかを知っておくことが必要。
  • 計測屋と審判の両方がレース終了後にカテゴリーごとの順位集計に時間をさかなければいけないだろう。人手が多く必要になるだろう。

このレースでは、先頭は6周を走る(6周x7分=42分)。もっとも遅い選手は1周8分以上かかるので、このレースが終わるまでにはおおよそ50分という時間がかかる。

このようにスケジュールを進めたい、というのはよく理解できることだが、同時に前述のような問題点があって、どうやってそらを処理するかを理解し、予測することが大切である。こういったタイプのレースで選手を排除するようなことのないよう頑張るべし。

シクロクロスシーズンにおいて一日の明るい時間の全てを使ったスケジュールというのは難しい。事故や準備、登録、リザルト、異議申し立て、コースの修理などにより、もしレースが遅れてしまったら、残りのレース時間が短くせざるを得なくなる。これも審判とレースディレクターのコミュニケーションの問題である。

以上、後はうまくやってくれ。


はい、以上でした。全般に結構当たり前のことしか書いてませんでしたが、レースを組み立てる時に考慮すべきことは網羅されているのかしら(多分。僕は運営やったことないけど)。

ゼッケン番号昇順降順で、というのは苦肉の策という印象。レース参加者をできるだけ多く、というのもわかりますが、そういういびつなレースを組むぐらいだったらそもそもレース構成を考えな方した方がいいんじゃないか。でも最後の工夫としてはありなのか。

個人的には新しい概念というか新手法を期待していたのですが、ちょっとガッカリ。どちらかというと全体的に2016末のレース運営のような不備をこれからはやらないように!ということを言いたかったのかな、という感じを受けます。

まあレース運営は思った以上に色んな事に気を配らなければいけないものですね。スケジュール組むのも難しそうと実感。レースを運営するオーガナイザに感謝!

というわけで、USAC のレース運営ガイドラインでした!

80%ルールとUSA運用ガイドライン (2)

前回投稿の続き。今回はガイドラインの内容に入っていきましょう。ガイドライン原文は USA Cycling に置いてあります。「USA Cycling cyclocross best practice」で検索すると出てきます。

全部翻訳するのは辛いので、ざっくり要点だけで。本文中に(*ほにゃらら)と入っているのは僕のツッコミ。USAC = USA Cycling(協会)。

それでは行ってみましょう。


シクロクロスレース運営のための Best Practice

2016 Cyclocross シーズン(*1)において、周回遅れやリザルトについて大きな問題になってしまったが、ルールの解釈やレーススケジュールなど沢山の問題があったためだろう。というわけで以下に運営指針を述べる。

(*1: 2016-17 シーズンと思われる。)

選手のレース終了処理

選手がレースを終了する場合は3種類。

  • レースに残っている選手は、ゴール順位と周回数でリザルト決定。
  • 周回遅れにされた選手は、周回遅れになった後でレースから除外される。除外処理は「ゴールより前の決められた場所」で行なう。(*周回遅れを予想してラップされる前に除外するのはダメらしい。)
  • 80%ルールであらかじめ的に除外された選手は、周回遅れにはならない。(* この文章よくわからず。リザルトの周回数計算に関わる?)

どうするかは運営側で議論し、すぐに選手にきちんと通知するべし。考慮すべき項目は以下。

  • レースのレベル(UCI エリートなのか、ホビーなのか)
  • スケジュール的な制限
  • 出走人数
  • 混走レースかどうか/混走の状態
  • 予想ラップタイム
  • コースの状態(狭い?テクニカル?だだっぴろい?など)
  • レースディレクターの願望
  • 計測システムのタイプと性能
  • 審判の数
  • 天候とコースコンディションの低下

80%ルールの使用

レース展開が重要な場合に80%ルールを使用する。すなわち、先頭が来る前にお邪魔さんを排除してトップ選手が十分に力を発揮できるようにするのだ。だがしかし、80%ルール適用は UCI 世界選手権とワールドカップのみで必須とされている。よってそれ以外については現地判断でよろしく。また、アマチュアレースではなく競技レースとして導入するかを考えるべきことである。

80%ルールを適用するとレース展開に絡めない選手の競技時間は短くなってしまうが、特に下位カテゴリーのレースでは望まれない結果となる。運営はよく選手側とコミュニケーションをとり、状況を把握すること。「UCI レースであれば80%ルールが使用される」が一般的な認識。

もちろん、80%ルールが正しく運用されること。USAC の規則にもあるように、80%ルールの使用は超厳密的にするものではない(* 原文: the use of 80% is an approximation=近似)。目的は次の周で先頭に追いつかれないように、なるべく遅く(*2)選手を除外することだ。選手になるべく多くのレース時間を与えるよう頑張りなさい。特にレース展開を左右する終盤での80%ルール運用が重要だ。

(*2: なるべく遅く= as late as possible で誤訳ではありません。ここだけに限らず、随分お客様=クレーマー対応的な気もしますが。)

また、もしある選手がトップの選手が来る(*3)前にフィニッシュラインを超えて最終周回に入れるならば、完走を許すべきだ。また、大会スケジュール的にもそれができる状態にあること(後述)。

(*3: 原文 = leader comes in for a finish。ゴールエリアに来たら、という程度だと思われる。ゴールラインについては明言していない。)

USAC のポリシーとしては、80%ルールは Elite レベルのレースだけ。アマチュアイベントでは運営側からの要求がない限りこのルールは使うべきでない。もし使うならばきちんとアナウンスしましょう。

全ての選手にレースを続けさせる

ほとんどのレースでは周回遅れになってもレースの続行が許される。それにより、表彰台を望むような選手でなくとも、エントリー料の対価として満足するだろう。以下のいずれか(もしくは複数)ならばレース除外は必要ないだろう。

  • アマチュアイベント
  • 小さな規模のレース
  • 複数カテゴリーの混走レース
  • 難しくないコース

周回遅れを良しとすると、計測・集計は大変になる。レースディレクターは混走などにも対応できるそれなりのシステムを使うこと。

(* ここから具体的なレース内容を挙げて解説する。)

例1:

  • 男子 U23 国内選手権のレース
  • 80人出走
  • 先頭の始めの2周のタイムの平均が7分

このような Elite レベルのレースでは表彰台どうこうが非常に重要であり、80%ルールは適用されるべきだ。5:36遅れたら除外。ただし最終周回突入までに先頭に追いつかれなければ続行でOK。

例2:

  • UCI CX のレースが開かれている週末に開催されるアマチュア・マスターズのレース
  • 35+と55+クラスの混走(成績は別)(*4)
  • 出走は併せて120人
  • ラップタイム予想は8分程度
  • 35+の選手を前に並ばせて同時スタート

UCI レースに関係しないアマチュアイベントであり、参加者にとってネガティブであろうし、80%ルールは適用すべき必要はない。もし適用したら55+のかなりの選手が除外されてしまい、もしかすると「実際のゴールにたどり着くのは数名のみ」とか「間違って55+のトップを除外してしまった」という事態を招いてしまうかもしれない。除外はせず、すべての選手をレース先頭と同じ周にてゴールさせるのが良い。

*4: 35+ とは35〜40歳クラス、55+ とは55〜59歳クラス。

例3:

  • 地域レース
  • 9〜18歳の少年少女のレース
  • 15-18歳グループが最初にスタート → 30秒後に9-14歳グループがスタート
  • 人数は合計30人
  • 予想タイムは15-18グループで8分程度

これもアマチュアイベントである。80%ルールを適用するなんてしたら涙々々になるだろう!遅いであろう低年齢クラスが後ろからスタートしているが、それがさらに上の年齢クラスの基準で足切りされてはたまらない。こういったときはもちろん除外処理なしで、同時スタート、もしくはより少ないタイム差でのスタートにするのが良いだろう(*上のグループの先頭が追いついてしまうのをできるだけ遅らせるため?)。スタートの時にグループの境界に線を引いてしまうもよい。そうすれば競争相手がよく分かるし、選手の多さに混乱することもないだろう。ローカルレースでしかもキッズクラスだ。楽しいレースにしようじゃないか。


半分来たので、とりあえず今回はここで終了。概ね当たり前なことしか書いてないですが、ガイドラインなのでこんなもんでしょうか。

適用する対象レースとしては、やっぱり UCI であるか、Elite なクラスであるか、という境目に注目しています。日本でも UCI は必須。JCX もほとんど適用、ローカル C1 では無しというのが一般的ですね。日本では混走レースで80%ルール適用したことは無かったと思います。

個人的には「最終周回突入前に80%はオーバーしていてもトップに追いつかれないならOK」という指針が気になります。過去に出場した UCI レースで「トップ来てるけどまだ差があるから、このままゴールライン超えられれば完走できるかも!」というところで厳密80%適用で終了〜、というのが何度あったことやら。マイアミとかマイアミとか。いや、もちろん開催側がそういう方針だったというだけで、それで良いんですけどね。でもやっぱり、確かにちょっと悲しかった、かな?

さて、次回は “Scheduling and Timing” から参りましょう。

→ (3) へ

CX 年齢

シクロクロスの、というか自転車競技界の年齢の数え方について見てみましょう。

UCI 競技年齢

U23 という指定のあるカテゴリーは Under23 つまり「23歳より下」のはずですが、22歳の選手が出場できない、早生まれの選手だから出られる、などと聞いたことありません?

UCI の規定する自転車レース界での年齢(誰が何歳である、と決める数字)の定義は以下にみられます。

For  participation  in  events  on  the  international calendar,  riders’  categories  are determined by the age of those competing as defined by the difference between the year of the event and the year of birth of the rider.
国際競技日程に登録された競技大会への参加にあたり、競技者のカテゴリは競技大会の行われれる年と競技者の生年との差で規定される競技年齢により決定される。
JCF 競技規則 1.1.034 より抜粋

例えば2017年に行われる大会に、2000年生まれの選手が出場したら、2017-2000=17ということで、競技年齢は17歳とみなされます。「その年に達する年齢でカウントする」と表現する人もいました。

実年齢で考えると、2000年生まれの君は2017年には17歳に達します。もちろん、17になる前には16歳ですので、2017年のある日時点では実年齢16歳と17歳の2つの場合が発生します。

よって「実年齢16歳だけど、17歳カテゴリーに出場」という状況が発生するなるわけなのです。

以上は自転車競技の一般的なお話。シクロクロスだと少し違ってきます。

シクロクロス年齢(CX 年齢)

というのも、シクロクロスは秋から春まで行われるスポーツです。ということは年をまたぎます。またぐということはシーズン途中で競技年齢が1つ上がってしまうのか?いいえ、答えは No です。

Except where provided otherwise for the masters category, the category which will be applied for entries to races for the entire season is the category to which the rider will belong on 1 January of the following calendar year.
マスターズ・カテゴリに規定される場合を除き、シーズンを通じた全レースにおいて適用されるカテゴリは,翌年1月1日に当該競技者が属するカテゴリとする。
競技規則第5部シクロクロスレース 5.1.001 より抜粋

あまり JCF の和訳がよくないですね… following calendar year は「翌年の」ではなく、「後ろの年の」とか「後半の年の」という方が正しいです。シーズン後半の年、という意味。

例えば2016−17シーズンのレースであれば、開催年は2017とみなされます。2017年に17歳に達するのであれば、大会の開催日が2016/10/23だとすると CX 年齢(*1)は17歳。ただし、同じ2016年でも、15-16シーズンに該当する2016/2/13の大会だったとしたら、CX 年齢は16歳となります。

もう1つ例をだすと、例えば2000/12/25生まれの君が2016/10/23の大会に出走した場合。

もちろん16-17シーズンなので CX 年齢は17と判断されます。しかしレース日は12/25の誕生日よりも前なので、実年齢16歳には達しておらず15歳。不思議な感じもしますが「15歳だけど17歳」という状況もあるんですね。

ルールにある “Except where provided otherwise for the masters category,” の詳細については不明。1/1 でカテゴリーが切り替わる、ということかしら?

*1: 「CX 年齢」という言葉は僕の造語です。

各カテゴリー年齢制限

最後に AJOCC カテゴリーごとの年齢制限を確認しておきましょう。ただし、とくにキッズカテゴリーについては地方ごとで運用が異なる場合があるようです。C3, 4 の下限年齢が怪しいですが、だいたいあってるはず。表中の年齢は全て CX 年齢です。

AJOCC カテゴリー年齢範囲
C118歳〜
C216歳〜
C3,414歳〜
CJ17,18歳
U1715,16歳
U15小5〜14歳
CK2小3,4
CK1小1,2
Kindergarten未就学児童
CL2,314歳〜
CM1,2,339歳〜

UCI も確認。

UCI カテゴリー年齢範囲
Youth〜16歳
Junior17,18歳
男子Under23(U23)19〜22歳
Elite23歳〜
Masters30歳〜
女子Under23(U23)17〜22歳

女子 U23 カテゴリーはシクロクロス用競技規則に規定されています。

マスターズ選手権では Masters 30歳以上で一括りではなく、 30〜34, 35〜39, 40〜44,,, といったふうに細かく区切られてレースが行われ、それぞれでチャンピオンが決まります。

以上、ちょっと不思議な CX 年齢のお話でした!

走行%と順位%

さて、今回は AJOCC レースでリザルトに記載されている2つの特殊な数値、「走行%」と「順位%」について見てみましょう。国内の非 AJOCC レースや外国のレースでは用いられていない、独自の数値です。

走行パーセント

こちらの数値はこのごろは AJOCC のリザルトにもあまり掲載していないようです。昇格や残留には影響しません。計算方法は以下の通り。

走行%=トップタイム(1/10秒単位) ÷ ゴールタイム(1/10秒単位)x100
※ 1%未満は四捨五入
※トップと同一周回である場合のみ有効な数値となる

たとえば、トップのタイムが60:12.223で、自分が同じ周回数走ってタイムが61:23.660ならば

  • 1/10 秒単位に切り捨てて 60:12.2 と 61:23.6
  • (60×60+12.2) ÷ (60×61+23.6) x 100 = 98.061678792
  • 1%未満を四捨五入して 98%

となります。もちろんトップの選手の走行%は100となります。

値自体の意味合いとしては、「トップとどれだけ差があるか」がわかる数値と言えるでしょう。後述の順位%と違ってレースの人数ではなく、タイム的な絶対値の比較になりますので、どれだけの力量(脚、とも言う)の差があるかをより明確にあらわしているのかなと思います。昇格や表彰台を目指している選手は注目してみましょう。同一周回走れないと意味ないですケド。

とは言うものの、やはり昇格・残留には影響しないのであまり注目はされない数値ですね。

>>>追記
twitter にて @daisukeyano より情報いただきました。少し前までは走行%が残留基準になっていて、しかもその獲得基準が90%!へ〜。結構厳しい基準だったようですね。ただ考えてみると、出走人数などに左右されないため、実は順位%よりも良い基準なのかも。
<<<追記

順位パーセント

というわけで、こちらが本題。計算方法は以下の通り。

順位% = 順位 / 出走人数 x 100
※ 小数点は切り捨て

よって順位%は小数点以下の無い整数値です。

出走人数が52人で、23位ならば

  • 23 ÷ 52 x 100 = 44.23076923
  • 小数点切り捨てて 44%

となります。レース全体で見た時にどれぐらいの位置にいるか、というのが順位と違ってレース人数の大小に関わらずわかる、という面があります。シーズン中の推移など見てみるとコンディショニングに使えるかもしれませんね。

で、この順位%は AJOCC のルールにおいて「カテゴリー残留に影響する」というのが大きなポイント。該当するカテゴリーは C1, C2, C3, C4 のエリートカテゴリーと CM1, CM2, CM3 のマスターズ。残留のためのルールとして以下のようなものがあります*1。

以下の残留基準を満たさない者はシーズン終了後に降格となる。
・出走人数を基準にして1/4(25%)以内の順位 1回以上の実績を残した者
・出走人数を基準にして2/3(66%)以内の順位 3回以上の実績を残した者
なお、CL1からの降格は今期については行わないこととする。

http://www.cyclocross.jp/about/ajocc.html#rule
「カテゴリーについて その3 昇格・降格」「⑤ 残留基準について」より抜粋

ここで書いてある25%と66%が順位%のこと*2。

50人のレースならば12位(=24%)以内を取れば一発で残留決定。33位(=66%)以内ならば残留のためのチケット1枚ゲット、ということになります。

とくにC1とC2ではシーズン終盤になると残留チケット獲得あと何枚必要だ〜、といったことで遠征プランを考える選手も多いみたいですね。C1 への昇格条件も厳しくなりましたし、きちっとリザルトを取っていきましょう!

以上、走行%と順位%でした。

*1: ちなみに AJOCC のルールページには明記されていないが、シーズン中に昇格した選手はシーズン終了後の降格対象とならない。

*2: 小数点切り捨てを考えると「1/x以内の順位」という表現は厳密には正しくない?と思ったりするが、そういうもんらしい。

障害物とシケイン

さて、今回は障害物のルールを確認してみましょう。UCI ルールでは 5.1.022〜5.1.024に記述が見られます。

障害物(Obstacles)

そもそもここで言う「障害物」とはなんぞや。

人工のものと自然のものがあると思いますが、自然物についてはコースの設定で

コースは、天候などいかなる状況においても乗車可能でなければならない。(5.1.013 より)

と規定がある程度。自然のモノであれば、コース全部が砂でも良いのかもしれません(*1)。

さて、人工の障害物。人工である、という条件と

障害物とは、競技者が自転車を降りるような(しかし必ずしも降りることを要しない)コースの部分である。(5.1.023より)

というのもあります。自転車に乗車したまま超えられるフライオーバーなどは数としてはカウントされない、ということになります。

そういった障害物として該当するとなると、

  • シケイン
  • 階段
  • 人工の砂セクション
  • 人工の泥沼セクション

といったところでしょうか。BMX のデコボコは乗車していけるのでここでの障害物には含まれませんね。

さて、これらの人工障害物のルールは以下の通り。

  • 1つの障害物区間は80m以下
  • 障害物の高さは40cm以下
  • 障害物区間の総延長はコース全長の10%以下
  • 人工砂セクションは40m〜80m、最小幅6mで直線区間にあること。また、入り口と出口が水平であること。

階段自体は40cm以上になりますが、ステップの高さは40cm以下でないとダメそうですね。砂場の最後のルールについては入り口と出口の高さが同じであれば、という書き方で、フラットでなければいけないというわけでは無さそうです。登り降りする砂セクションなんてオーガナイザが面倒くさいでしょうから作らないとは思いますが… 砂セクションの最低長さの規定があるのが面白いですね。

その他の基本的なルールは以下の通り。

  • スタート区間、フィニッシュ区間には障害物を設けてはならない。(5.1.022)
  • 階段(筆者注: 英語では steps)を飛び降りるような下りを設定してはならない。(5.1.023)

*1: ただし路面が固いこと、という条件の付くスタートは除く。

シケイン

障害物といえばシケイン。

シケインルール

シケインルール

簡単に言うと、40cmほどのハードル。UCI ルール上では plank と書いてあります。JCF の和訳では厚板。

ロードレース基準の感覚ではあり得ない障害物。当然、ほとんどの選手は直前に自転車を下りて→自転車を持ち上げ→越えて→少し走って→自転車持ち上げ→越え→自転車に飛び乗る、という動作を行ないます。

バイクに乗ったままジャンプ(バニーホップ)して超えていく猛者は人気者になれるでしょう。

シケイン区間のルール以下のとおり。

  • シケイン区間はコースに1箇所のみ設けることができる(無くても良い)
  • 2つの厚板で構成されること
  • 厚板同士の間は4〜6m
  • 厚板は鋭利でなく金属製でないこと(木製が多い)
  • コース全幅であること
  • 40cm以下の高さであること
  • コースが以上に滑りやすい場合は協議の上シケイン区間を無しにできる

筆者も認識不足でしたが、厚板1枚だけのシケイン区間は厳密にはダメのようですね。関西クロスには15cm高の連続ステップがありますが、多分このシケインセクションには含まれないと思いますが、どうなんでしょう。よくわからず。

それから、2016/7/16 に追記されたルールに以下のようなモノがあります。

上記の板のどちらかまたは両方を、場合により1本または2本の木の丸太に置き換えることができる。丸太を使用する場合,最大の太さは40cm以下とする。その他の点で,板の仕様に適用可能なすべての規則は丸太にも適用されるものとする。

要するに人の手で作ったシケイン(厚板)の代わりに丸太でもいいよ、というルールです。

といっても以前から丸太とか牧草ロールみたいのは有名レースでも使用されていたようで、今回のルール追記はそれを明文化しただけだと思われます。

オーガナイザが趣向を凝らす障害物。下位カテゴリーでは特に、これらをどう攻略するかで結構差がついたりします。脚だけでは勝てないのがシクロクロスの面白いところですね。

以上、障害物のルールでした!

2016-17 AJOCC ルールについて

さて、中国での UCI レースに日本人選手も出発したりと、2016-17 シーズンの足音も聞こえてきました。そろそろ自転車(と脚)の準備ですヨ。

シーズン前に AJOCC のルールが変更された箇所を確認しておきましょう!プラス考察。元ネタは http://www.cyclocross.jp/about/ajocc.html#rule より。

JCX 同一周回での完走ボーナスを 20pt → 10pt

C1, CL1 のほぼナショナルランキングである JCX シリーズのポイントについての変更です。AJOCC 側からは「昨シーズンの結果から、順位による配点に対する割合が大きすぎたと判断したため。」と理由が説明されています。

2opt ってどのくらい?ポイントテーブルを見ると、一般レースでの40位に相当することがわかります。

例で考えてみましょう。Aさんがある JCXレースで、ラップされたけど38位で 22pt を獲得しました。次に他のレースでBさんが60位、先頭選手と同一周回ゴールでした。Bさんの獲得ポイントは5pt+ボーナス20pt。

Aさん22pt、Bさん25pt。ランキング的にはBさんが上になりますが、順位で見るとAさんの方が確実に強そうです。ボーナスが10pt ならばBさんのポイントは15ptになり、ボーナスの影響は少なそうな感じです。

順位をとってなんぼやで!な方向への変更、ですかね。

昇格の基準となる人数は完走人数 → 出走人数

このルールについては過去には地域ごとで認識が異なっていたようで、出走人数基準で昇格者が決まったりということもあったような気がします。今回のアナウンスで改めて出走人数が基準人数となります。

例えば C2 のレースで、10人出走 → 9人完走とします。基準人数は10なので、1名が昇格。2015-16 シーズン以前ならば基準人数は9となるので昇格者無し、となるわけです。

レース全体として見ると、昇格基準の数が増えるので昇格者も増えるかもしれません。効果は限定的だと思いますが。

選手にとってはスタートに並んだ時点で「何位でゴールすれば良いのか」という目標が立てやすくなりますね。完走人数基準だとレースが終わるまでわからないので、努力が水の泡、ということもなくなるでしょう。

C1, CM1 への昇格人数は1名のみ

これが本日の本題。

2015-16 以前の基準(*1)では C2 レースからの C1 への昇格は

  • 出走人数10人以上 → 昇格1人
  • 出走人数20人以上 → 昇格2人
  • 出走人数50人以上→昇格3人

CM2 もしくは CM2+3 レースからの CM1 への昇格は

  • 出走人数10人以上 → 昇格1人
  • 出走人数50人以上→昇格2人

となっていました。

ひどい時には C1 へ3名昇格、ということもありえたようです。しかし、実は C1 に所属する人数というのは極度に肥大化しています。人数の推移は以下のとおり(*2)。

15-16 シーズン開始時: 225人
15-16シーズン終了時: 319人(残留処理前)
16-17 シーズン開始時: 253人

12月の全日本の時に300人近い人数が C1 に居たってことで、これはちょっとトップカテゴリーとしてはさすがに人数が多すぎる。全日本では JCX ポイントでの参加制限が課されるようですが、その他の一般レースで100人超えのエントリーがあったらテンヤワンヤ確実です。トップカテゴリーとしてあるまじきアルマジロ。

また、C2 の16-17開始時人数は261人で、C1 より少ないという力のピラミッド的にはちょっとマズイ状況です。なので、C1 の人数を絞るためにも人数ピラミッドを適正化するためにも、C1 への昇格を制限しましょう、となるのは自然な流れといえます。

ちなみに残留条件については変更はありませんが、16-17の状況しだいでは厳しくなるかも?

選手から見ると、C1 はさらに狭き門になってしまいましたが、その分トップカテゴリーのありがたみというか重みは増したでしょう。C2 もかなり熾烈なレースが行われているとも聞きます。そこで勝った奴が1番偉いというのはわかりやすいし、トップカテゴリーへの切符を与えるには正しい基準だろうと思います。

CM1 への昇格については同上。ただし CM1 を単独カテゴリーレースとして開催しているのはほぼ関西シリーズのみで、それ以外の地域の選手ではあまり意識することは無いかもしれませんね。

以上、2016-17 シーズンのルールについてでした!Category2 の選手は頑張りましょう!

*1: 実際には基準人数は完走人数だったが、16-17 に準拠して書いた。

*2: カテゴリーごとの人数については手元計算なので誤差ありです。

選手コード

前回と関連して、AJOCC の選手コードのことを書いてみましょう。

選手コードは、たとえば KNS-156-0023 といったアルファベットと数字が組み合わさったもので、各選手ごとにユニークなコードが割り振られます。このコードを基準にリザルトやカテゴリーが管理されています。ちなみに全て半角。

2015-16シーズンより前は KNS-0023 という形式でした(*1)。しかしその後シクロクロス人口が一気に増えてきたため、選手コードの形式を変更することになりました。

現在の選手コードは以下の図のような意味を持っています。

racer_code_3

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コース(その3/ゴール・横断)

前回スタート区間に引き続き、ゴール区間の規定と観客の横断箇所について。

Finish section

ゴールに関するルールについてはちょっと記述が分散していて、最初に出てくるのは 5.1.008。

  • Finish Line の100m前〜50m先までの区域は柵によって保護する
  • このエリアに入れるのは運営スタッフ、選手、アテンダント、チーム監督、報道関係者のみ

おそらく勝負かかったところで外部の観客などが邪魔にならないように、それからゴール後の流れをスムーズにするという意図かと。

ちなみにスタートには「柵によって保護すべし」という規定はありません。むしろ大集団でスタートする場合のほうが柵は必要になりそうですが…

もう1つの規定は 5.1.021「Finish section」

  • 100m以上の直線であること
  • UCI 世界選手権、ワールドカップでは幅6m以上であること
  • その他の大会では幅4m以上であること
  • 平坦か上り勾配であること
  • 頭上のフィニッシュバナー(FINISH とか書いた横断幕のようなもの)は高さが地上から2.5m、かつゴール区間の全幅をカバーすること。

スタートと比べると比較的簡単ですね。Finish Line 手前から100mの直線区間は先の規定により、柵によって保護されることになります。

Finish section

Finish section

面白いことに、ゴールセクション内に障害物を設けることは 5.1.022 で禁止されていますが、路面についての規定はありません。

と、ということはFinish が泥っどろの路面、担ぎの激坂、BMX のデコボコでも OK! ということですよね?(*1) Finish が担いで丘のてっぺんまで駆け上がるとかちょっと萌えません?

しかし普通は自転車的スプリントで勝負を決めるのが良いでしょうから、大抵はアスファルト、そうでなくとも平坦の硬い土路面や草地でのゴールが一般的です。確かに自転車競技ですので勝敗がランニングで決まっても変な感じですし、何よりガッツポーズが絵にならない(もしくは出来ない)のが致命的か…

*1: ちなみに砂場 (Sand pit) は Obstacles の項にかかれており、障害物として規定されているようなのでおそらく駄目。

Crossing points (横断箇所)

「Cyclocross のコースは周回路 (circuit) にすること」

つまり、コースを横断する箇所がなければコースの内側には誰も入ることができなくなってしまいます。

横断箇所の規定は 5.1.008 に少しだけ。

  • 観客のための横断箇所を4箇所以上設けること
  • 各横断箇所ごとに、2つの一方通行レーンがあること
  • 横断箇所の両側で横断が管理されること(つまり立哨員をたてて、レースに影響しないように観客を横断させること)

2つめは少し謎ですが、おそらく行きと帰りでぶつからにように誘導しなさい、ということだと思われます。コースの真ん中で客が止まってしまったら怖いですからね。

Crossing point

Crossing point

ルールブックには書いていませんが、「横断箇所」などと書いたバナーによってゲートが作られ、横断箇所が示されています。

UCI や大規模な大会を除き、横断箇所が設けられていない大会も多くあります。何よりレース運営上でも立哨員を8人も確保するのは大変ですしね。

そのような場合はそれぞれの判断・裁量でコースを横断することになります。「コーステープの内側は戦闘区域である」という認識を持ち、特にレースがやって来る方向をよく確認してコースの横断を行ないましょう。

以上、ゴールと横断箇所のお話でした。

コース(その2/スタート)

さて、前回の投稿でコース全体について見てみましたが、今回はスタート周りについて見てみましょう。

レース時間中で最も選手密度が高いスタート。スタートの出来がレースに大きく影響する場合もあり、スタートは全力ダッシュすべき時でもあります。

平等さを保ち、レースとしての危険を分散させるためにもスタートに関しては様々なルールが決められています。

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