カテゴリー」タグアーカイブ

Americanカテゴリー事情

本ブログで何かと取り上げられるアメリカシクロクロス。ちょっと前に USA Cycling 協会(以下 USAC)の CX のページを見ていてカテゴリー昇格の面白い仕組みを知り、今回はそれも含めて USAC のカテゴリー制度を調べてみました。

USAC のページではログインの機能などもあり、選手ごとリザルトも閲覧でき、進んでいるなあと思ったりします(が、進んでいない部分も多数。トップページとか。)

では毎度適当和訳で行ってみましょう。

昇格ガイドライン

まずは元ネタになったページより。https://www.usacycling.org/news/user/story.php?id=2627

このページのトップ、目に痛い黄色ボックスの中に書いてありますが内容は以下。

  • カテゴリー昇格したかったら成績を添付して申請してくれ
  • 昇格 OK ならカテゴリーシール発行するのでライセンスに貼り付ける(ライセンス再発行しない場合)
  • 昇格 OK なら Web アカウントのカテゴリーも更新される
  • Category1 はライセンス再発行になる

自己申告だと?

昇格要件

シクロクロスのカテゴリーは男子も女子も Category1〜Category5 の5段階(USAC のルールブック第1章の項1D1(a))。女子は前までは Category4 までだったみたい。ちなみにロードもトラックも同様に Category1〜5 であり、統一された区分になっています。クロス選手がロード並みに人数いるってこと?

カテゴリーは5段階でかなり細分化されていますが、実際のレースは Category1/2 とか 1/2/3 で開かれたりしているようです。

昇格はポイント制で判断され、条件は以下の通り。(pt = point)

  • Category5→4: 10レース参加で強制昇格
  • Category4→3: 10pt で申告昇格/15pt もしくは 30人以上出走レース2勝で強制昇格(*)
  • Category3→2: 15pt で申告昇格/20pt もしくは 30人以上出走レース2勝で強制昇格(*)
  • Category2→1: 20pt で申告昇格/25pt もしくは 40人以上出走レース2勝で強制昇格(**)
  • (*: ただしジュニアは4→3, 3→2 の強制昇格対象外)
  • (**: weekly series のレース、マスターズレースで稼いだポイントのうち、Category1 への昇格に充てられるのは10ptまで。)

で、肝心のポイントテーブルは以下。

順位\出走5〜10人11〜20人21〜50人50人〜
1位3457
2位2345
3位1234
4位123
5位12
6位1

結構厳しいですね。もちろん昇格すればポイントはゼロにリセットされます(1E1(e)の項)。

例えば30人出走として、3→2 ならば1位+3位x3+5位。2→1 ならば1位+3位x3+5位x6。コンスタントに上位で走れないと昇格は無理。本当に強い選手は2勝しちゃうと思うけど。

ただし、申請前36ヶ月間のポイントをカウントできます(1E1(d)の項)。つまりは2シーズン。その間に上記の例ぐらいの成績を稼げば OK ということになります。それでも結構大変そうな感じはしますが。

降格条件

では逆に降格はどうなっているのでしょう。AJOCC ではシーズンの成績によって管理されていますが、ルールブックの1E6(e)の項に記載があり、

  • 降格したい選手は Web で申請してくれ
  • Category5 には降格できない
  • 昇格した年には降格しない

以上,,, って、これだけ?

「申請すれば降格」。逆に言えば申請しなければ降格なし、ってことですよね。一方通行階段。

まあ、昇格条件が結構厳しいので上位カテゴリーの人数がまだ少なく、降格の仕組みが必要ないのかもしれません。Category1/2 などの複合カテゴリーでの開催も多いそうですし。

他競技からの移行

ロードやマウンテンバイクで USA カテゴリーを持っている場合には、上位カテゴリーに入ることができます。例えば MTB XC の Cateogy1 だったら CX Category3、ロード Category4 だったら CX Category5、などなど。

ナショナル選手権の参加資格

先程、どんどんカテゴリーが上がっていくだけ、と書きましたが、全米選手権の出場資格も調べてみました。https://www.usacycling.org/2017/cxnationals

開催期間は2017/1/3(火)〜1/8(日)。Masters 男女全部、学生クラス、TEAM RELAY、Cross Country Marathon とかハテナな Non-Championship なレースも含めてガッツリ開催しています。Junior クラスも11-12, 13-14, 15-16 と徹底。勿論 Men, Women に分けての SingleSpeed もあり。ど、どんだけっすか!

で、本題の全米選手権 Elite の出場資格はテクニカルガイドに載っています。

  • USAC などの有効なライセンスを持っていること
  • ProCX ランキング90位以内であること
  • もしくは UCI ポイントを持っていること

ProCX というのは日本で言うところの JCX シリーズ。Category1 と 2 のレースが該当で、獲得大会数制限があるのも日本と同様。2017 Elite のエントリーは男子47名(C1/2)、女子38名(C1/2/3)というわけで、90人制限といっても全部が全部出場しているわけではないみたいですね。アメリカ広いし。

サンドバック野郎

この規則とか手順を読んだ時にふと思ったのが、「申請しなかったら昇格しない?」ってこと。

タイミングよく Twitter で @daisukeyanocx より

上がらず下のクラスで勝ち続ける「サンドバック野郎」と呼ばれる人がたくさんいます。

と教えてもらいました。日本語として聞くと、サンドバック=殴られる側、みたいな印象がありますが、殴る側ってことですよね?

サンドバック野郎

USAC は選手側に昇格条件のチェックをオマカセできて楽なんでしょうが、全米選手権のデータ見てもかなりの人数が居るみたいですし、全部はチェックしきれてないみたいですね。

まとめ

さあ、いかがでしたか?

所変わればなんとやら。降格もなければ昇格は自己申告。JCX と同じようなシリーズもありーの、全米選手権が6日間とスケールがでけーの。

色々面白かったので、また思いついたら USAC についても調べてみようっと。

以上、太平洋の向こうのシクロクロス事情でした!

CX 年齢

シクロクロスの、というか自転車競技界の年齢の数え方について見てみましょう。

UCI 競技年齢

U23 という指定のあるカテゴリーは Under23 つまり「23歳より下」のはずですが、22歳の選手が出場できない、早生まれの選手だから出られる、などと聞いたことありません?

UCI の規定する自転車レース界での年齢(誰が何歳である、と決める数字)の定義は以下にみられます。

For  participation  in  events  on  the  international calendar,  riders’  categories  are determined by the age of those competing as defined by the difference between the year of the event and the year of birth of the rider.
国際競技日程に登録された競技大会への参加にあたり、競技者のカテゴリは競技大会の行われれる年と競技者の生年との差で規定される競技年齢により決定される。
JCF 競技規則 1.1.034 より抜粋

例えば2017年に行われる大会に、2000年生まれの選手が出場したら、2017-2000=17ということで、競技年齢は17歳とみなされます。「その年に達する年齢でカウントする」と表現する人もいました。

実年齢で考えると、2000年生まれの君は2017年には17歳に達します。もちろん、17になる前には16歳ですので、2017年のある日時点では実年齢16歳と17歳の2つの場合が発生します。

よって「実年齢16歳だけど、17歳カテゴリーに出場」という状況が発生するなるわけなのです。

以上は自転車競技の一般的なお話。シクロクロスだと少し違ってきます。

シクロクロス年齢(CX 年齢)

というのも、シクロクロスは秋から春まで行われるスポーツです。ということは年をまたぎます。またぐということはシーズン途中で競技年齢が1つ上がってしまうのか?いいえ、答えは No です。

Except where provided otherwise for the masters category, the category which will be applied for entries to races for the entire season is the category to which the rider will belong on 1 January of the following calendar year.
マスターズ・カテゴリに規定される場合を除き、シーズンを通じた全レースにおいて適用されるカテゴリは,翌年1月1日に当該競技者が属するカテゴリとする。
競技規則第5部シクロクロスレース 5.1.001 より抜粋

あまり JCF の和訳がよくないですね… following calendar year は「翌年の」ではなく、「後ろの年の」とか「後半の年の」という方が正しいです。シーズン後半の年、という意味。

例えば2016−17シーズンのレースであれば、開催年は2017とみなされます。2017年に17歳に達するのであれば、大会の開催日が2016/10/23だとすると CX 年齢(*1)は17歳。ただし、同じ2016年でも、15-16シーズンに該当する2016/2/13の大会だったとしたら、CX 年齢は16歳となります。

もう1つ例をだすと、例えば2000/12/25生まれの君が2016/10/23の大会に出走した場合。

もちろん16-17シーズンなので CX 年齢は17と判断されます。しかしレース日は12/25の誕生日よりも前なので、実年齢16歳には達しておらず15歳。不思議な感じもしますが「15歳だけど17歳」という状況もあるんですね。

ルールにある “Except where provided otherwise for the masters category,” の詳細については不明。1/1 でカテゴリーが切り替わる、ということかしら?

*1: 「CX 年齢」という言葉は僕の造語です。

各カテゴリー年齢制限

最後に AJOCC カテゴリーごとの年齢制限を確認しておきましょう。ただし、とくにキッズカテゴリーについては地方ごとで運用が異なる場合があるようです。C3, 4 の下限年齢が怪しいですが、だいたいあってるはず。表中の年齢は全て CX 年齢です。

AJOCC カテゴリー年齢範囲
C118歳〜
C216歳〜
C3,414歳〜
CJ17,18歳
U1715,16歳
U15小5〜14歳
CK2小3,4
CK1小1,2
Kindergarten未就学児童
CL2,314歳〜
CM1,2,339歳〜

UCI も確認。

UCI カテゴリー年齢範囲
Youth〜16歳
Junior17,18歳
男子Under23(U23)19〜22歳
Elite23歳〜
Masters30歳〜
女子Under23(U23)17〜22歳

女子 U23 カテゴリーはシクロクロス用競技規則に規定されています。

マスターズ選手権では Masters 30歳以上で一括りではなく、 30〜34, 35〜39, 40〜44,,, といったふうに細かく区切られてレースが行われ、それぞれでチャンピオンが決まります。

以上、ちょっと不思議な CX 年齢のお話でした!

そんなリザルトで大丈夫か?C2編

前回までは AJOCC カテゴリーごとの人数を見てきました。Elite の選手数ピラミッドはけっこう寸胴な感じでしたね。できれば末広がりの方が好ましいのですが。

AJOCC の Elite の昇格・降格ルールは以下のようになっています。

  • 出走人数によって上位1〜3名が昇格(出走10名未満では昇格者無し)
    ※16-17シーズンからは C1 への昇格は人数によらず1名のみ
  • 降格はシーズン終了後に行われる
  • そのシーズンに昇格した選手は残留
  • 順位25%のリザルトが1つでもあれば残留
  • 順位66%以上のリザルトが3回あれば残留

残留はチケットが3枚必要で、25%なら3枚獲得、66%なら1枚獲得、という表現をする人もいらっしゃいますね。

昇格はレースという戦いを制しなければ無い、という実力主義。

しかし残留については数あるレースでチケットを3枚稼げば良い。これは昇格に比べれば結構ゆるい基準です。実際、より多くのレースに遠征していれば25%は難しくとも、66%のチケットを手に入れられる機会は少なくありません。もちろん脚は必要ですが。

そこで問題提起。

「随分前に昇格したけど、そのカテゴリーで走っているのは妥当?」

実際、いつもビリケツの方にいる選手でも毎年ちゃっかり残留している、というのはよく見かけます。

“妥当”というラインとして、「下位カテゴリーから昇格してきた選手」の昇格直後のリザルトを比較することで考えてみましょう。下のカテゴリーに落ちても勝てるの?上のカテゴリーの選手なんだから、下のカテゴリーから来た選手より強くて当然ダヨネ?ということ。

今回は C2 編(お楽しみの C1 は次回)です。集計方法は以下。ええ、頑張りましたとも。

  • 2015-16シーズンにC2に昇格した選手について、
  • 昇格後のレース(15-16シーズン内の最大4レース)のリザルトをピックアップ
  • リザルトについては完走したもののみ利用(DNS, DNF, DNQ など含まない)
  • たまに化物クラスの選手のリザルトが混ざっているが、メカトラリザルトと相殺と考えてそのままカウントする。

まずは順位。

C2昇格直後の獲得順位カウント

「ある順位をとったリザルトがいくつあるか」というグラフで、例えば11〜15位ならば35。

5〜20位ぐらいが多いようです。というものの、順位は出走60人と出走15人のレースでは価値がまったく違うので比較が難しいな…

というわけで、順位%で見てみましょう。

C2昇格直後の獲得順位%カウント

「ある順位%をとったリザルトがいくつあるか」というグラフです。

50%と90%に山(丘ぐらい?)ができていますね。前者は昇格直後でもそこそこの位置で走れているがトップ争いには関われていない選手、後者は C2 に昇格したはいいけどなかなか周りについていけない選手、といったところでしょうか。

グラフ左側の0〜20%の値は低く、C1 への門は甘くないことがわかります。とくに16-17からはC1への昇格者が減った影響で C2 に強い選手が残るようになり、C2 のレベルが上がっているとの噂もあり。

メインテーマにもどってグラフを眺めると、せめて現状レースで順位55%ぐらいのリザルトでないと C2 の選手としては示しがつかなさそうです。

走行%も見ておきましょう。

C2昇格直後の獲得走行%カウント

このグラフでは周回遅れのリザルトは含みませんが、「同一周回で走りきるならトップからどのくらいの脚の差?」という視点では有効かと。

91%の小山と96%の大山がありますが、順位%と共通の傾向?

C2 の選手としては平均値かつグラフがへこんでいる92%より上の走行%であること。90%以下のリザルトが続くようなら、かなりやべーと危機感をもちましょう。

まとめ

さて、C2 の皆さんいかがだったでしょうか。

ざっくりと「C2 選手として」の基準を決めてみると、現状レースで

  • 順位50%以下
  • 走行92%以上

というぐらいのリザルトが欲しいですね。ただ、上にも書いたように16-17になって C2 のレベルがガシガシ上がっているらしいので、数字としてはもうちょい下がるかもしれません。

個人的には、昇格直後でも順位50%程度が多いのに注目。C2 選手の1/3は新参者の後塵を拝している、という現状があるようです。

C2 選手は新参者に大きな顔をさせないためにも、レースを楽しむためにも、きっちりリザルトと向き合って練習がんばりましょう。

次回はメインディッシュの C1 です。