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UCI と JCF と5つの輪っか(2)

前回に引き続き、自転車競技に関わる組織のお話。今回は UCI の下部組織である JCF について。

国内自転車競技連盟 (National Federation, NF)

UCI とはなんぞやと言うと、定款の一番最初に

国際自転車競技連合(略称 UCI)は,各国の国内自転車競技連盟の連合組織である。

とあります。すなわち各国の国内連盟の上に立つ組織なのではなく、あくまで連合体と定義されています。Wikipedia の UCI の項にも最初は5カ国の競技連盟によって設立された、とあります。

ここにある国内自転車競技連盟(国内連盟)とは要するに JCF やアメリカサイクリング協会 USAC などのこと。

前回の五輪の話とからめると、

  • オリンピック委員会は自転車部門を UCI に委託。
  • だが、UCI 単独で世界各地で予選をやって、というのは無理がある。
  • ルールを定め、各地域の団体(JCF, USAC など)に競技開催をさせる。
  • その競技結果を集計して五輪参加割当を決定。

という形での運営になっています。

シクロクロスでは五輪がありませんが、ロードならば五輪の各国ごと出走人数の決定の仕組みについてはこの辺の冒頭が詳しいですが、つまりは UCI ポイントでの振り分け。ポイントが個人ではなく国ごとで合計され、その国ごとポイントにより参加可能人数が決まります(*1)。

で、参加選手数が「国ごとに与えられる」とありますが、実際は JCF に対して与えられています。そういえば日本選手団は JCF の定めた白ベースのナショナルジャージで参加していますね。

そして大前提として、オリンピックに選手を参加させたいのであれば JCF は UCI に加盟していなければなりません。(これだけではありませんが、話をシンプルにしてます。)

当然、JCF としてはオリンピックに自国民を出場させたい。であれば UCI に加盟。加盟すると UCI 規則を遵守する義務など発生しますが、対価としてオリンピックや世界選手権へ選手派遣する道が開けることになります。

もちろん JCF が選考を行いますので、選手が五輪に出場したかったら、UCI の窓口である JCF に登録しなければ選考対象とはなりません。UCI の競技規則にも五輪への出場資格の前提として国内ライセンスをもっていること、と規定されています(競技規則11.1.003)。

また、選手が国際的なレース = UCI レースに参加しようと思ったら UCI 登録をしなければ受け入れてもらえません。

考えてみましょう。レース主催者としては外国からふらっとやってきてレースに出させろ!というどこの馬の骨ともわからない選手をレースに出場させることなんてできませんよね。ルール破ったり危険行為をしたりするかもしれませんし、それに対する罰則を適用することができません。

しかし UCI ライセンスを持っていれば、その選手は UCI の定めたルールを理解し遵守することになっていて、かつ罰則も適用できますので、じゃあ出場 OK とできるわけです。

UCI ライセンスは UCI の日本窓口である JCF に申請して取得することになります(*2)。

*1: 個人で頑張ってポイント稼いだのに団体で評価されるってどうなのよ、というところでロード女子は色々あったようですが、以下略。

*2: ちなみに JCF が怠けて UCI ライセンスの発行が遅くなったりしたら UCI から直接取得する、という手順も定義されています(規則1.1.014)。

JCF(日本自転車競技連盟)

日本の国内競技連盟はご存知 JCF。規則集を読んでいくと、JCF の概要はざっくり以下のとおり。

  • 国内の競技者を管理・統括するという役割・目的を持つ。
  • 登録選手の成績管理などを行なう(ここから五輪選出)。
  • UCI の窓口として業務を行う。
  • 全日本選手権を行なう。

上の項の UCI ライセンスと同じく、競技ルールを遵守させる(=どこの馬の骨な選手に対する信頼付け)という役割もあります。3,4千円程度なのでケチらず登録しましょう。

UCI の窓口業務ですが、例えば審判講習を行なっているのは JCF ですね。また、UCI レースを開催しようとしたら国内連盟 JCF の承認がなければいけません。確か UCI 審判は JCF 所属が多いはずなので、審判の派遣についても JCF にお願いしなければいけないでしょう。(ちょっとこの辺怪しい…)

「JCF は UCI の下部組織なのだから、JCF ライセンスで全ての UCI レース出られるようにならないの?」

という疑問もありますが、JCF 登録人数は少なく見積もっても UCI 登録日本人選手の20倍。流石に UCI レースに出ないような選手データの管理を UCI に押し付けるのは無理ってもんです(*3)。登録の手間もありますしね。JCF ローテクだったし。

それから IOC の規定に、NOC(日本で言う JOC)は UCI の各国連盟である JCF をメンバーとして含まなければならない、という規定もあります(オリンピック憲章28.1.2)。

*3: ただ、UCI としては個別の ID を付与して全世界的に選手管理するシステムを駆動し始めた模様。詳細後日。

都道府県車連

JCF は以下の加盟団体を持っています。

  • 都道府県競技連盟
  • 全日本実業団自転車連盟(JBCF)
  • 日本学生自転車競技連盟
  • 全国高体連自転車競技専門部
  • 日本プロフェッショナル サイクリスト協会

ロードについていうと、UCI レースに加えて、基本的にはこれらの団体が執り行うレースの多くが全日本選手権の予選となっている場合が多いようです。国体なんかも結局は都道府県連盟主催の予選→国体→完走すれば全日本出場資格となってますし。どちらにせよ JCF のお墨付きがついたレースが対象となっています。2days 木祖村は実績が認められたのかな?MTB 全日本出場資格は JCF 公認の Coupe du Japon MTB の登録クラスによる。

昔聞いたところでは JCF の理想としては都道府県車連での予選→全日本選手権、としたいらしいです。実際には JCF+県車連だけでは総合的に正しい選考はできませんので、外部の主催者と連携しながらとなっていますが。

まとめ

はい、文字ばっかで疲れますね。書いている方も疲れました。

ここまでの関係性をまとめてみましょう。

IOC. UCI, JOC,  JCF(※厳密には JBCF は JCF の中では無いと思いますが。)

要素が多くて文章ダラダラになってしまいましたが、JCF を3行でまとめると、

  • UCI の日本窓口
  • 日本の競技者を取りまとめて五輪・世界戦に選出+派遣
  • 全日本選手権もやってるよ

ってところでしょうか。

さて、次回はやっと AJOCC 登場です。

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2017 JCF 登録

JCF の登録方法がオンラインでできるようになりました。今までは県車連の紙手続きをしなければ通らなくて面倒だったのですが、さてどうなったんでしょうね。前とこれからを比べながら、その詳細に迫ってみましょう。

昔むかし

その前にちょっと昔話を。

ある選手がロードの全日本 TT に申込んだのですが、その申込は JCF の地域の下部組織である都道府県自転車競技連盟宛てになります。そして JCF の大会要項には「いついつまでに県車連からの申込がなされること」とあります。

県車連に申し込み、練習に励んでいましたが、1本の電話があり「JCF への申込が間に合わなかった」とのこと。え?

「なんとかなりませんか?」
「いや、本当に申しわけないが無理です。」
「うーん…」

同じことになってしまった別の選手からも激しい抗議があったようですが、無理なもんは無理で通らず。県車連と JCF って一心同体だと思っていましたが。というより、何て融通の効かないことだ。

選手はがっかりしました。

しかしそもそも県車連が出先機関になっている形がよくわからない。結局 JCF が書類まとめているんだよね?全日本に申込忘れとかどうするのだ。そもそも JCF だって県車連に申込の有無ぐらい確認したら?

こんなことが2度とあってはならない。未来の選手のためにも、頑張って要点と意見をまとめ、メールを JCF に送りました。

しかし JCF からは返答はなし。

選手はもっとガッカリしましたとさ。おしまい。

これまでの問題点

その後、選手やチームごとに JCF に直接メールを送っておいてとか Cc で確認するとか一応チェック手順が追加されましたが不完全感は拭えず。大きな組織なんだからもう少しどうにかすればいいのに、と思っていました。

大きな問題点は1つ、

「なぜ JCF が都道府県車連を経由して手続きしなければいけないのか」

でした。

手順が複数になればその分ミスが発生するし、上の昔話のように JCF が下部組織のミスについては受け付けないというのもおかしい。

もちろん歴史的な理由などあるのでしょうが、選手としてはよくわからないし面倒くさい。少なくとも時代遅れ。

そんなモヤモヤが(個人的には)10年以上前からあったわけですが、それが今回やっとこさ改善されたわけです。

New System!

というわけで新しいシステムの登場。http://jcf.or.jp/?page_id=53792。選手登録の要点を並べてみましょう。

  • オンラインで JCF 登録できるようになった。
  • 決済もオンラインで(カード or コンビニ払い)。
  • JCF レース申込もできるみたい。
  • 登録はとりあえず継続登録にのみ対応。
  • 継続の申込は2月1日12:00 〜 3月30日15:00。
  • 県車連への書類提出でも登録できる。
  • 新規・再登録は4/1〜。
  • ライセンス期間が4/1〜3/31だったのが1/1〜12-31に変更。
  • ライセンスが紙から樹脂製に。
  • 国内ライセンス持っていれば国内の国際大会(UCI レース)に出場できる。
  • ただしライセンスに顔写真がはってあること。

新システム使用量(決済手数料?)はかかるようですが、オンラインで完結するのはうれしいですね。

実際に新システムのトップページに行くと、赤文字で注意事項がびっしり…。補足しておくと文章中の「所属団体」とは都道府県車連のことです。

上の国際レースの絡みでいくと、本人の顔写真の項目が気になります。

  • 登録申込後、1時間以内にメールで写真を送ればライセンスに写真が付く。
  • 写真データは 700kb 以下の jpeg ファイルであること。
  • 2.4cm x 3.0cm のカラー写真であること。
  • ファイル名は指定どおり付けること
  • 画像サイズとか間違ってたら無効なのでよろしく。

最初と最後の項目はなんだかなあと思います。送られてきたライセンスに写真が無くて、とかどうするのだろう。システム屋的な視点としては×です。

それから JCF レースの申込状況とかはライセンス番号と電話番号を入力すると見られるという仕組み。電話番号知っていたら他人でも閲覧できてしまうようですが、どうせ出走リストなどで公開されるものだし、まあいいのか。チーム監督などが見るには便利です。

写真の画像サイズ

で、700kb で 2.4×3.0cm ってなんやねん。

手元のマシン (Mac) のプレビューというソフトでやってみると2.4×3.0cm/解像度72とするとファイルサイズは5kb。これは68×85ピクセルなので、小さい写真とはいえ粗い写真になってしまうのでは?

この辺のページによると解像度は300dpiを超えても意味ないらしいので、2.4×3.0cm/解像度300とすると283×354ピクセルでサイズは55kb。このぐらいで安心?

限界まで画質上げてみた。※多分迷惑なのでやめましょう。

700kbというサイズはよっぽど変なことしなければ超えないですな。

シクロクロスな視点

国内ライセンス(写真付き)で UCI レースにでられるようになったのは大きいですね。

大きな視点からは、今までは UCI ライセンス取得の1万円がハードルとなって躊躇する選手もいましたが、それがなくなると UCI レースに参加する人数が増えることが予想されます。若干増か大きく増えるかは読めませんが、逆に言うと当然1万円払ってでも出る!というぐらいの熱い気持ちがなければ、あっという間にラップアウトされてオシマイになりますよ、と言っておきましょう(←偉そう)。

ただし海外 UCI に出るのならば1万円の UCI ライセンスが必要です。日本人が出場しそうなところを並べてみると以下。

  • 中国 Qiansen Trophy
  • アメリカ Vegas クロス
  • 世界選手権(JCF ナショナルチーム)
  • ↑の前段階の World Cup などのレース
  • その他武者修行でのレース

それほど多くはありませんね。

さて、もう1つ。まず C1, C2, CL1, CJ については JCF ライセンス所持が義務付けられていますが、

シクロクロスのシーズン:おおよそ9月〜翌年3月
JCF ライセンス有効期限:1/1〜12/31

と、シーズンが年をまたいでます。なので12月以前に C1 に所属する選手であれば翌年のライセンスも必要となります。シクロクロス的には年度単位になっている方が都合が良かったのですが、ロード+MTB の方が断然競技人口が多いので敵いませんね。そもそも UCI ライセンスが 1/1-12/31 ですし(競技規則1.1.008)。

まあ、ライセンス義務カテゴリーの選手なら来シーズンは出ない、ということは少ないでしょう。細かいこと言わずにライセンス取りましょう(というか取らないと出られません。)

まとめ

最近になって「やっとライセンス届いたぜ。」というコメントが聞こえてきました。見切り発車という批判もありましたが、新しい仕組みの始まりなんてこんなもんでしょう。長い目で見ると大きな改善だと評価できると思います。JCF には引き続き頑張って欲しいですね。

ちなみに、われらが AJOCC ではライセンスという形はなく、AJOCC レースに参加すると自動的に選手登録されるようになっています。ライセンス料もなければライセンスカードの発行もなし。かなりゆるい形での管理となっています。選手としては選手コードさえ抑えておけばいいので手間としては楽。

で、色々考えてみると、そもそも JCF 登録=競技者登録って何様?という疑問があります。

JCF は AJOCC とは別団体のはず。俺はシクロクロス走りたいだけなんだけど、ナゼ JCF のライセンスをお金払って取得しなければいけないの?競技者登録する意味は?JCF って何やってるんだっけ?

スケールの大きな話なので長くなりそうですが次回乞うご期待〜、ということで。

コース(その2/スタート)

さて、前回の投稿でコース全体について見てみましたが、今回はスタート周りについて見てみましょう。

レース時間中で最も選手密度が高いスタート。スタートの出来がレースに大きく影響する場合もあり、スタートは全力ダッシュすべき時でもあります。

平等さを保ち、レースとしての危険を分散させるためにもスタートに関しては様々なルールが決められています。

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33mm 表記タイヤOKにしますわ!(by JCF)

JCF からクリスマスプレゼント?

JCF のサイトに本日、以下の様な掲載がありました。

シクロクロスにおけるタイヤ幅規定の運用 について
競技大会時に,ゲージ等で実測した結果最大幅が規定の33mmを超えるものであって,33mmの製造者表示を確認できるタイヤについては競技における使用を認めてよいのとする.
(http://jcf.or.jp/?p=47766 より抜粋)

(まだ本ブログがタイヤ幅の話まで行ってないんですけどね〜。)

正式なシクロクロスレースでは当然 Cyclocross 自転車の機材としての規定がありますが、これに「タイヤ幅は33mm以下であること」という規定があります。

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