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CX 年齢

シクロクロスの、というか自転車競技界の年齢の数え方について見てみましょう。

UCI 競技年齢

U23 という指定のあるカテゴリーは Under23 つまり「23歳より下」のはずですが、22歳の選手が出場できない、早生まれの選手だから出られる、などと聞いたことありません?

UCI の規定する自転車レース界での年齢(誰が何歳である、と決める数字)の定義は以下にみられます。

For  participation  in  events  on  the  international calendar,  riders’  categories  are determined by the age of those competing as defined by the difference between the year of the event and the year of birth of the rider.
国際競技日程に登録された競技大会への参加にあたり、競技者のカテゴリは競技大会の行われれる年と競技者の生年との差で規定される競技年齢により決定される。
JCF 競技規則 1.1.034 より抜粋

例えば2017年に行われる大会に、2000年生まれの選手が出場したら、2017-2000=17ということで、競技年齢は17歳とみなされます。「その年に達する年齢でカウントする」と表現する人もいました。

実年齢で考えると、2000年生まれの君は2017年には17歳に達します。もちろん、17になる前には16歳ですので、2017年のある日時点では実年齢16歳と17歳の2つの場合が発生します。

よって「実年齢16歳だけど、17歳カテゴリーに出場」という状況が発生するなるわけなのです。

以上は自転車競技の一般的なお話。シクロクロスだと少し違ってきます。

シクロクロス年齢(CX 年齢)

というのも、シクロクロスは秋から春まで行われるスポーツです。ということは年をまたぎます。またぐということはシーズン途中で競技年齢が1つ上がってしまうのか?いいえ、答えは No です。

Except where provided otherwise for the masters category, the category which will be applied for entries to races for the entire season is the category to which the rider will belong on 1 January of the following calendar year.
マスターズ・カテゴリに規定される場合を除き、シーズンを通じた全レースにおいて適用されるカテゴリは,翌年1月1日に当該競技者が属するカテゴリとする。
競技規則第5部シクロクロスレース 5.1.001 より抜粋

あまり JCF の和訳がよくないですね… following calendar year は「翌年の」ではなく、「後ろの年の」とか「後半の年の」という方が正しいです。シーズン後半の年、という意味。

例えば2016−17シーズンのレースであれば、開催年は2017とみなされます。2017年に17歳に達するのであれば、大会の開催日が2016/10/23だとすると CX 年齢(*1)は17歳。ただし、同じ2016年でも、15-16シーズンに該当する2016/2/13の大会だったとしたら、CX 年齢は16歳となります。

もう1つ例をだすと、例えば2000/12/25生まれの君が2016/10/23の大会に出走した場合。

もちろん16-17シーズンなので CX 年齢は17と判断されます。しかしレース日は12/25の誕生日よりも前なので、実年齢16歳には達しておらず15歳。不思議な感じもしますが「15歳だけど17歳」という状況もあるんですね。

ルールにある “Except where provided otherwise for the masters category,” の詳細については不明。1/1 でカテゴリーが切り替わる、ということかしら?

*1: 「CX 年齢」という言葉は僕の造語です。

各カテゴリー年齢制限

最後に AJOCC カテゴリーごとの年齢制限を確認しておきましょう。ただし、とくにキッズカテゴリーについては地方ごとで運用が異なる場合があるようです。C3, 4 の下限年齢が怪しいですが、だいたいあってるはず。表中の年齢は全て CX 年齢です。

AJOCC カテゴリー年齢範囲
C118歳〜
C216歳〜
C3,414歳〜
CJ17,18歳
U1715,16歳
U15小5〜14歳
CK2小3,4
CK1小1,2
Kindergarten未就学児童
CL2,314歳〜
CM1,2,339歳〜

UCI も確認。

UCI カテゴリー年齢範囲
Youth〜16歳
Junior17,18歳
男子Under23(U23)19〜22歳
Elite23歳〜
Masters30歳〜
女子Under23(U23)17〜22歳

女子 U23 カテゴリーはシクロクロス用競技規則に規定されています。

マスターズ選手権では Masters 30歳以上で一括りではなく、 30〜34, 35〜39, 40〜44,,, といったふうに細かく区切られてレースが行われ、それぞれでチャンピオンが決まります。

以上、ちょっと不思議な CX 年齢のお話でした!

そんなリザルトで大丈夫か?C1編

いよいよデータ編の本題、C1 選手ってホントに強いの?どのくらい強いの?を見てみます。

が、最初にちょっと愚痴ります。本題に行きたい方は「C1 昇格者リザルト比較」まで PageDown してつかーさい。

前回投稿について、SNS 上で「くだらん」というコメントを見かけました。

確かにくだらない記事ですね。記事タイトルも煽り気味だったかもしれません。ただ、数字という視点で見てみたらどうなんだろうね、という意図で書いたのであって、C3 からやりなおせとか言いたいわけではありません。AJOCC が設定したルールから外れているわけではありませんしね。

実際、選手ピラミッドの視点からでは C2 人数はむしろ足りないぐらいですし、1大会1レースに限定されるべき C1 ほど何のかんのツッコミが必要なカテゴリーでは無いと思います。(というか今回の C1 編がメインで、C2 はついでにやってみた的な)。

しかし、まあ、人格を否定されるのは悲しいですね…

数字を眺めることで見えてくるのもあると思うので、これからも記事は書いていこうと思いますが、暖かく見守って頂ければと思います。

さて、、、気を取り直してメインコンテンツに行ってみましょう!

C1 昇格者リザルト比較

能書きについては前回投稿の冒頭を御覧下さい。要約すると以下。

  • AJOCC のルールを考えると昇格しにくく、残留しやすい。
  • C1 に残留している選手は本当に C2 の選手より強いの?
  • じゃあ、C2 から C1 に昇格した選手のリザルトを眺めてみよう。

C1(Category-1) といえば、全日本や UCI レースへの参加権も与えられる、名実ともに日本シクロクロス界のトップカテゴリー。例えばニュースサイトなどでも下位カテゴリーとは扱いが天と地ほどあるし、観客の注目度も CL1 や CM1 などと比較しても頭一つ抜けている。当然にみんなが憧れるカテゴリーである。

では当然に選手は強い、はず。少なくとも、C1 選手は C2 から上がりたてのペーペーより強いはずだよね?(←ちょっと強引)

というのがテーマです。

  • 2015-16シーズンにC1に昇格した選手について、
  • 昇格後のレース(15-16シーズン内の最大4レース)のリザルトをピックアップ
  • リザルトについては完走したもののみ利用(DNS, DNF, DNQ など含まない)
  • たまに化物クラスの選手のリザルトが混ざっているが、メカトラリザルトと相殺(平均に影響しない)と考えてそのままカウントする。

順位

順位から見ていきましょう。

C1昇格直後の獲得順位カウント

35位の谷をはさんで2つの山がありますね。意外と30位ぐらいまでに固まっています。

15-16シーズンは出走人数により昇格者は最大3名。また、昇格対象者が若すぎる場合には繰り上げということもあり、昇格者と一口に言っても様々。C1 へ昇格時の順位を1位、2位、3位以下で分別してグラフにしてみましょう。

C1昇格直後の獲得順位カウント(昇格時順位ごと)

さすが1位昇格者は順位が高めですね。逆に3位以下昇格者では1〜5位を獲った選手はおらず。平均順位は2位選手と3位以下選手でひっくり返っていますが、大きな意味は無いと思います。

順位%

しかしやはり順位ではよくわかりませんね(出走人数によって重さが異なってしまうので比較対象になりにくい)。順位%にいってみましょう。

C1昇格直後の獲得順位%カウント

ほぼ右上がりのきれいなグラフです。さすがの通称”化け物クラス”(*1)。C1 新参者が簡単に上位に食い込むのは難しいようです。

だがしかし、一番右側。90〜100%の箇所だけが凹んでいます。これはつまり「新参者がビリケツ争いをしていることは意外と少ない」ということでしょう。先程と同じように、昇格時順位で分けてみましょう。

C1昇格直後の獲得順位%カウント(昇格時順位ごと)

明暗くっきりですね。これは面白い。

1位昇格者は全体に値が分散していて「半分より上」の成績もそこそこありますが、2位と3位以下の選手では値が60%寄り右側に集中しています。平均値も1位昇格より+20%。

1位昇格者の平均値はおおよそ半分の51.66%、つまり平均すれば、中ほどの順位を獲っていることになります。

そして16-17シーズンからは C1 への昇格者は1名に限定されました。ということは上のグラフの1位昇格の選手しか居ない(*2)ことになるので、16-17には C1 選手の半分近くは新参者の後塵を拝してしまっている計算になります(*3)。

*1: 筆者は C1 昇格直後に「化け物クラスへようこうそ!」と先輩 C1 選手に声をかけられた。懐かしいなあ。
*2: 正確には繰り上げ昇格があるのですべての選手が1位昇格者とはかぎらない。
*3: 下位昇格者が減ったりするのでグラフの数字よりは若干マシになると思うが。その辺はざっくり予想。

走行%

走行%はレースで周回遅れになると値がつきません。「同一周回ゴールするならどのくらい?」というぐらいの基準になるでしょうか?

C1昇格直後の獲得走行%カウント

93%が目標値?

C1昇格直後の獲得走行%カウント(昇格時順位ごと)

うーん。よくワカラナイですね。平均値は昇格時順位ごとぐらいになっているか、ぐらい。

周回遅れをカウント

ついでに、周回遅れ(*4)をネガティブな成績としてみたらどうでしょう?というわけでカウントしてみました。数だけだとわからないので、昇格者の全リザルトに対する周回遅れリザルトのパーセントとして集計。

C1昇格直後の周回遅れ率(昇格時順位ごと)

これまた明暗くっきり。

昇格2位以下の選手では昇格後の半分以上のレースでラップされていた、ということ。ラップされるレースが続くのは結構こたえます。C2 でばっちり勝って大手を振って C1 に乗り込むぐらいが丁度良さげのようです。

まとめ

テーマ再考のネタとしては順位%の昇格時順位ごとのグラフに尽きるでしょう。

C1昇格直後の獲得順位%カウント(昇格時順位ごと)

オレンジだけ見れば良し。現状の C1 レースで真ん中より下のリザルトだと「なんだ C1、大したことね~じゃん」と C2 から上がってきたばかりのペーペーにナメられます。

やっぱり泣く子も黙るトップカテゴリー「C1」としては、プライドと脚でもって C2 からの新参者に厳しい現実を叩きつけるような走りをして欲しいなあと思います。練習がんばりましょう!

以上でした!

疲れたー。

そんなリザルトで大丈夫か?C2編

前回までは AJOCC カテゴリーごとの人数を見てきました。Elite の選手数ピラミッドはけっこう寸胴な感じでしたね。できれば末広がりの方が好ましいのですが。

AJOCC の Elite の昇格・降格ルールは以下のようになっています。

  • 出走人数によって上位1〜3名が昇格(出走10名未満では昇格者無し)
    ※16-17シーズンからは C1 への昇格は人数によらず1名のみ
  • 降格はシーズン終了後に行われる
  • そのシーズンに昇格した選手は残留
  • 順位25%のリザルトが1つでもあれば残留
  • 順位66%以上のリザルトが3回あれば残留

残留はチケットが3枚必要で、25%なら3枚獲得、66%なら1枚獲得、という表現をする人もいらっしゃいますね。

昇格はレースという戦いを制しなければ無い、という実力主義。

しかし残留については数あるレースでチケットを3枚稼げば良い。これは昇格に比べれば結構ゆるい基準です。実際、より多くのレースに遠征していれば25%は難しくとも、66%のチケットを手に入れられる機会は少なくありません。もちろん脚は必要ですが。

そこで問題提起。

「随分前に昇格したけど、そのカテゴリーで走っているのは妥当?」

実際、いつもビリケツの方にいる選手でも毎年ちゃっかり残留している、というのはよく見かけます。

“妥当”というラインとして、「下位カテゴリーから昇格してきた選手」の昇格直後のリザルトを比較することで考えてみましょう。下のカテゴリーに落ちても勝てるの?上のカテゴリーの選手なんだから、下のカテゴリーから来た選手より強くて当然ダヨネ?ということ。

今回は C2 編(お楽しみの C1 は次回)です。集計方法は以下。ええ、頑張りましたとも。

  • 2015-16シーズンにC2に昇格した選手について、
  • 昇格後のレース(15-16シーズン内の最大4レース)のリザルトをピックアップ
  • リザルトについては完走したもののみ利用(DNS, DNF, DNQ など含まない)
  • たまに化物クラスの選手のリザルトが混ざっているが、メカトラリザルトと相殺と考えてそのままカウントする。

まずは順位。

C2昇格直後の獲得順位カウント

「ある順位をとったリザルトがいくつあるか」というグラフで、例えば11〜15位ならば35。

5〜20位ぐらいが多いようです。というものの、順位は出走60人と出走15人のレースでは価値がまったく違うので比較が難しいな…

というわけで、順位%で見てみましょう。

C2昇格直後の獲得順位%カウント

「ある順位%をとったリザルトがいくつあるか」というグラフです。

50%と90%に山(丘ぐらい?)ができていますね。前者は昇格直後でもそこそこの位置で走れているがトップ争いには関われていない選手、後者は C2 に昇格したはいいけどなかなか周りについていけない選手、といったところでしょうか。

グラフ左側の0〜20%の値は低く、C1 への門は甘くないことがわかります。とくに16-17からはC1への昇格者が減った影響で C2 に強い選手が残るようになり、C2 のレベルが上がっているとの噂もあり。

メインテーマにもどってグラフを眺めると、せめて現状レースで順位55%ぐらいのリザルトでないと C2 の選手としては示しがつかなさそうです。

走行%も見ておきましょう。

C2昇格直後の獲得走行%カウント

このグラフでは周回遅れのリザルトは含みませんが、「同一周回で走りきるならトップからどのくらいの脚の差?」という視点では有効かと。

91%の小山と96%の大山がありますが、順位%と共通の傾向?

C2 の選手としては平均値かつグラフがへこんでいる92%より上の走行%であること。90%以下のリザルトが続くようなら、かなりやべーと危機感をもちましょう。

まとめ

さて、C2 の皆さんいかがだったでしょうか。

ざっくりと「C2 選手として」の基準を決めてみると、現状レースで

  • 順位50%以下
  • 走行92%以上

というぐらいのリザルトが欲しいですね。ただ、上にも書いたように16-17になって C2 のレベルがガシガシ上がっているらしいので、数字としてはもうちょい下がるかもしれません。

個人的には、昇格直後でも順位50%程度が多いのに注目。C2 選手の1/3は新参者の後塵を拝している、という現状があるようです。

C2 選手は新参者に大きな顔をさせないためにも、レースを楽しむためにも、きっちりリザルトと向き合って練習がんばりましょう。

次回はメインディッシュの C1 です。

カテゴリーごと人数

さて、前回まで2015-16のレース参加者数を見てきましたが、今回はカテゴリーごとの人数を見てみましょう。

  • 2017の正月現在の人数をカウント。
  • よって C1 ならばシーズン開始時は-30人、シーズン終了時なら+30名ぐらいになる。
  • シーズンの中ほどなので人数バランスをそこそこ正しく表していると思われる。

Elite, CL のカテゴリーごと人数(2017.1.1現在)

特にC4なんかは登録されているけど出てない、という人を星の数ほど含んでいるので実際よくわからないですね。JCF やロードの実業団とちがって AJOCC はライセンス料払って登録して、という仕組みがないので(*1)、シーズンごとの登録人数はわからず、下位カテゴリーほど人数はアテにはなりません。

Elite の方はC1がおおよそ300人。JCX や UCI レースを行なうことを考えると、少し多いかなという印象です。C2 もおおよそ同数で、こちらはもうちょっと多くても良い?

CL1 は85人。全国でこの数字なので、やっぱり寂しいですね。

合計人数自体を比較すると、CL は Elite の1/7程度。ですが、前回のデータと併せて考えると、女子の方が選手数に対する出場数は低く、Elite の方がより多くのレースに出ているようです。

次に Masters と CJ 以下。

Masters, CJ 以下のカテゴリーごと人数(2017.1.1 現在)

唯一、CJ 以下の少年少女カテゴリーは年齢に対してカテゴリーが割り振られている(ハズ)なので、人数はほぼ正しい値だと思われます。600人も居るんですねー。意外。

Masters はピラミッドとしてはきれいな形になっていますね。CM3 は走っていない選手も含んでいるのでこれまたアテにはならない人数ですが。

今回は以上、軽めのエントリーでした。次回は少し重めですよ!

*1: AJOCC レースに参加すると自動的に選手コードが割り振られ、登録される。

2015-16カテゴリーごと参加者数その2

前回に引き続き、15-16のカテゴリーごと参加者数を見てみましょう。今回はアンダー以下カテゴリーと CL、それからまとめです。

  • CL2+3の2/3をCL2として、1/3をCL3としてカウント。
  • CK1+2は半数をCK1へ、のこり半数をCK2としてカウント。

2015-16 アンダー以下、CL カテゴリーごと出走人数

レース数が66ぐらい(*1)なので、CL1 の1レースあたりの平均すると10人程度。レースとしてはちょっと寂しい。運営の都合上、CL2 や CM1 と混走(*2)が多いこともうなずけます。

CL2, CL3 のレースは地域によって開催の仕方が異なります。

  • 東海, 関西, 四国: CL2, CL3 で開催
  • 千葉: CL2+3 で開催
  • 湘南, 信州: 大会によってまちまち
  • その他: CL2 のみ開催

CL3 はレース時間が15分という設定で、レース!と意気込むにはちょっと物足りないのでは?人数が少ないし CL2 にまとめて開催、というところが多いようです。

ちなみに関西の CL 合計人数は830人で全体の47%。もはやノーコメント。ちなみに2位は信州の241人。関西 CL1 の1レースごと平均をとっても約20人と充実しています。

小学校1,2年生の CK1,と3,4年生の CK2がそこそこいい数字。熱血な親御さんが英才教育してるのでしょうか?

ですが、それより上のカテゴリーの数字は少なめ。といってもCX年齢14歳(←だったはず)、つまり中2ぐらいからは Elite の C4 に出走できるので、U17とCJ(Category Junior) の2つのカテゴリーは不要といえば不要だったりします。U15年代が少ないのがちと気になるな…

まとめ

というか、最後にエリートの人数と比べたら、という視点で見てみましょう。ついでに関西。

2015-16 カテゴリーごと合計参加人数

親父クラスと CL はほぼ半数が関西ですね。毎度ながら恐るべし。

個人的には Masters が Elite の1/3もいる、というのが驚き。出場制限がかかることのある Elite(C4, C3) から鞍替えする選手も居たりするようなので、今後も増えていくかも?

比べて少ないのが女子と少年少女。確かにお金かかるし、泥々で汚れるし、マニアックな競技だし、気持ちもわからんでも無い。

ですが、やっぱりレースとして緊張感のある程度には人数が増えてほしいですね。

また、若い子たちが複合競技的なシクロクロスで様々な動きを体験するのは、「体育」という意味ではとても良いことです。ロードとピストではペダルを回す、という固定的な動きに終始してしまいますが、シクロクロスでは下りて乗って担いでランして。動きの種類が多くて◎。

だからと言って、はいそうですか、とは増えないのが世の常ですが裾野がドンドン広がっていくと良いですね。選手は各自魅力的たれ、ですヨ!

以上、カテゴリーごとの参加人数でした。

*1: レース数には全日本、年代別、プロローグなど含む
*2: C2, CM1 はレース時間が CL1 と同じ40分なので混走レースをしやすいという都合あり。

2015-16カテゴリーごと参加者数

さて、前回は地域ごとの参加者数をカウントしてみましたが、今回はレースのカテゴリーごとでやってみましょう。

  • C3+4, CL2+3, CM2+3, CK1+2については適当に集計
    (例: C3+4の 1/3はC3として、2/3はC4としてカウント。小数点以下切り捨て。)
  • 全日本はC1, CL1としてカウント。

今回はエリートとマスターズをみてみましょう。

2015-16 Elite, Masters カテゴリーごと出走人数

やはり入り口であるC4の人数が圧倒的。1日2レース開催もザラですから。

マスターズはレースごとのカテゴリーの配置が地域によって異なります。

  • 東海, 関西, 四国: CM1, CM2, CM3に完全に3つのレースに分けている。
  • 湘南, 東京, 中国: CM1とCM2+3の2レース
  • その他: CM1+2+3 でまとめて1レースとして開催。
  • CM4を開催しているのは関西のみ。

実は東海と関西のマスターズカテゴリーの参加人数を合計すると4,269人で、全体の75%を占めています。カテゴリーごとだと以下のような感じ。

2015-16 CM1, CM2, CM3 出走人数と関西、東海の割合

他地域のCM1+2+3(=646人)を合計しても関西のCM1の人数には届かず。恐るべしカンクロの親父人気。しかしマスターズは地域によっての開催レース形態が異なるので比較がしづらいですね…

次にエリート。

ちなみにC3+4の形でレースを開催しているのは東北、中国と信州の一部のみ。他の地域ではC3とC4に完全にわけられています。

(↓マスターズ挟んでしまったのでさっきと同じグラフ)

2015-16 Elite, Masters カテゴリーごと出走人数

注目すべきはやはりC1の人数でしょう。華のトップカテゴリーであり、ピラミッドの頂点ということではC2, C3より人数少なくなるべきですが、C2が2,416人に対してC1は3,273人。1つの大会でC1が2レース開催されることはありませんし、C2レースが無いということもほぼ無いでしょう。ということはやはり上記の人数比がそのままレース人数になっている、ということ。

地域ごとに見てみると,,,

2015-16 地域ごとC1, C2の参加人数

シクロクロスを長く開催している信州と関西での人数逆転が目立っています。他地域でもほぼほぼ C1=C2 ぐらい。

「随分と周りの知り合いがC1になったな」と思っていましたし、オーガナイザからも「C1が少し増えすぎた」というぼやきを聞いたこともあります。

実際の所、2015-16までは出走人数によってはC2→C1へ1レースで3人が昇格する、ということもあり(*1)、逆に残留についても、多くのレースに遠征して残留チケットを3枚稼げばOK、つまり登りやすく落ちにくいルールであったためにC1の人数が増えたのだと考えられます。もちろんシクロクロスへの参加人数が増えている、というのも大きな一因。JCX や UCI レースへの出走人数を考えると、今後はより厳しい昇格・残留のルールが設定されるでしょう。C2なら2レースに分割しても良いわけだし。

他のカテゴリーは併催(C3+4とか)があるので割愛しますが、必ず開催しているであろうC1とC2の1大会あたりの平均人数をカウントしてみましょう(*2)。

2015-16 地域ごとC1, C2参加人数の1大会ごと平均

東海は全体人数が多いにしてはC1, C2が少ないかな?AJOCC 加盟が最近のため、地元に上位カテゴリーの選手が少ないのが原因でしょうか。

東北と中国は少ないですね…やはり距離的な遠征のハードルを越えてでも来たいと思わせるような魅力的なレースづくり、加えて地元での選手育成が鍵となりそうです。

しかし僕が Cyclocross を始めたときにはC1,C2の出走人数が10人ちょっと,,, ということもしょっちゅうだったように思いますが、今なら40人程度の規模のレースが冬中開催されているというのはありがたいことですね。

以上、エリートとマスターズの参加人数を見てました。

次回は女子とキッズを見てみる予定です。お楽しみに!

*1: 2016-17 シーズンからはC1への昇格人数は1人のみとなった。

*2: 大会数は1日目にC2, 2日目にC1開催、といった形のは考慮していないので人数は少なめに表示されているかも。

2015-16の地域ごと参加者数

前回は「より細かく」と書きましたが少し視点を変えて、各地域の参加者数を見てみましょう。関西で1,000人に迫る参加者数が!というニュースを見たりしますが、他の地域も含めてどうなんでしょうね、ということで。

今シーズンはまだ途中なので、2015-16 シーズンが元ネタ。2日開催の大会については2大会としてカウントしています(お台場、野辺山など)。DNS 含む。

2015-16 地域ごと参加人数/地域名のあとの ( ) の数字は開催レース数(全日本含む)

やはり関西がとびぬけて1位。もうすぐ1万人に届くかという参加者数は流石の一言です…

続いて2位は東海。関東・関西の両エリアから遠征しやすいという立地が強みの1つ。日本版コクサイデとも言うべき砂地獄のワイルドネイチャープラザのコースも魅力的ですね。

3位は信州。強豪選手を多く排出し、コースも一筋縄では行かないようなテクニカルなものが多いという印象。遠征も比較的しやすいかな。

もちろん大会数が多ければ多いほど合計人数は多くなっていきますが、今度は1大会の平均参加人数を見てみましょう。こちらの値の方が、地域ごとの集客力を正しく表しているでしょう。

2015-16 地域ごと参加人数の平均/地域名のあとの ( ) の数字は開催レース数(全日本含む)

やはりというか、1位は関西。13レースも開催して、さらに平均で700人。

この関西の数字を見ると、小中学生カテゴリーの参加者は増やせると思いますが、タイムスケジュールなどの関係上、1大会では800〜900人ぐらいが限界でしょうかね。

2位東海。3位には関西クロスのメンバーが運営に関わっている四国。うどんに釣られて?

意外とシクロクロス東京の人数が低いように見えますが、これは幕張・お台場ともに 2days 開催になっていたため。純粋に今の316.5人を2倍すると633.0人となり、実は2位相当。

東北クロスは首都圏から遠いという地理的なネックのため、中国クロスは近くに関西というビッグシリーズがあったりで、1レースあたりの人数は少なめになっています。

しかし人数が少ない大会の方が知り合いが増えやすかったりもします。アットホームというか、人数が少ない分だけ距離感が近くなるからでしょうか。関東の人間だったので、東北 CX Project の大会にはしょっちゅう遠征していましたが、雪の菅生や競輪のバンクを取り入れたコース(*1)、猪苗代湖などの独特なコースと菅田オーガナイザのレイアウトもあり、選手としての経験値をかせぐ場としても、純粋にオフロードとしても非常に楽しかったです。オススメ。

平均の参加者数は360人。C1,2,3+4,CM,CL1,とその他2レース分やるとすると、1レースはおおよそ50人程度のようです。

さて、今回は地域ごとの参加人数という面から見てみました。

やはり関西が大きな人数を動かしているのが明らかになったのと、東海が(個人的には意外に)いい規模になってきているなというのが印象でした。地理的な問題もあるかもしれませんが、他の開催地でもまだまだ参加人数は増やせそうですね(*2)。

*1: 大和町のベロドロームだったか。参加した2度とも雪のレースでした。今は競輪バンクの面を張り替えたとかで、シクロレースはやっていないはず。いつかまた再開して欲しいレースの1つですね。

*2: 運営できるかは別。関西の運営体制はなかなか真似出来ない気もします。

AJOCC な大会数の推移

大会が多すぎてどのレースに出るか迷ってしまう… そんなボヤキも聞こえてくるぐらいレースが増えているという感がありますが、実際のところはどんなもんなんでしょうか。

今回は各地域のレース数とその推移を見てみましょう。元ネタは AJOCC ホームページのカレンダーより(*1)。2014-15 のデータはちょっと古いものを引っ張ってきて(だいたいあってるはず)。もう少し前のデータがあればより増えた感が実感できるグラフになりそうですが。

備考
+ 2日に分かれる大会はそれぞれ別としてカウント
+ 全日本、JCX 選手権などは開催地域へ算入(13-14:?, 14-15:東北, 15-16:信州, 16-17:宇都宮)

まずはシーズンごとの総大会数。

大会数推移

13-14シーズンから見ると20レース近く増えていますね。ちなみに13-14はお台場でのシクロクロス東京が第3回目、野辺山なら第4回を迎えたシーズン。大きな大会が定着というフェイズを迎えたころ、ってところでしょうか。

意外にも15-16と16-17ではほぼ横ばい。

次に地域ごとの推移を見てみましょう。

地域ごと大会数推移

途中から AJOCC に加入した地域は以下の通り
+ 14-15〜 千葉, 湘南
+ 15-16〜 宇都宮, 東海
+ 16-17〜 北海道, 前橋

関西は流石の2ケタ。ただし14-15シーズン(オレンジ)は2day開催があったので実質13大会でしょう。16-17シーズンは11戦が10戦になったりで-2。中国クロスのレース減少理由は不明。

「関東」となっているのは秩父と茨城ですが、秩父は15-16が最後で、16-17からは茨城シクロクロスのみで5戦を開催しています。

常連(?)の東北、信州、関西などは安定してレース数をこなしていますが、開催レース数は増えてはいないようです。特に東北や信州などは雪の関係でレースをこれ以上増やすのは難しそう。関西はもう日程限界値までレースをやっている感あり(2月頑張ればもっと行ける)。

やはり途中加入地域の大会数が増加分とカウントできます。青森や九州などでもローカルなレースはあるようですし、これからも増えていきそうな気配もあり。逆に、1地方のシリーズとして考えると、他地域のレースとの絡みもあったりで1シーズンあたり5〜10大会ぐらいが妥当になるのかなと思ったりします。

次回はもう少し細かく見てみましょうかね。

*1: シーズンごとで掲載の仕方が少し変わっているような気もしますが、誤差ということで。

走行%と順位%

さて、今回は AJOCC レースでリザルトに記載されている2つの特殊な数値、「走行%」と「順位%」について見てみましょう。国内の非 AJOCC レースや外国のレースでは用いられていない、独自の数値です。

走行パーセント

こちらの数値はこのごろは AJOCC のリザルトにもあまり掲載していないようです。昇格や残留には影響しません。計算方法は以下の通り。

走行%=トップタイム(1/10秒単位) ÷ ゴールタイム(1/10秒単位)x100
※ 1%未満は四捨五入
※トップと同一周回である場合のみ有効な数値となる

たとえば、トップのタイムが60:12.223で、自分が同じ周回数走ってタイムが61:23.660ならば

  • 1/10 秒単位に切り捨てて 60:12.2 と 61:23.6
  • (60×60+12.2) ÷ (60×61+23.6) x 100 = 98.061678792
  • 1%未満を四捨五入して 98%

となります。もちろんトップの選手の走行%は100となります。

値自体の意味合いとしては、「トップとどれだけ差があるか」がわかる数値と言えるでしょう。後述の順位%と違ってレースの人数ではなく、タイム的な絶対値の比較になりますので、どれだけの力量(脚、とも言う)の差があるかをより明確にあらわしているのかなと思います。昇格や表彰台を目指している選手は注目してみましょう。同一周回走れないと意味ないですケド。

とは言うものの、やはり昇格・残留には影響しないのであまり注目はされない数値ですね。

>>>追記
twitter にて @daisukeyano より情報いただきました。少し前までは走行%が残留基準になっていて、しかもその獲得基準が90%!へ〜。結構厳しい基準だったようですね。ただ考えてみると、出走人数などに左右されないため、実は順位%よりも良い基準なのかも。
<<<追記

順位パーセント

というわけで、こちらが本題。計算方法は以下の通り。

順位% = 順位 / 出走人数 x 100
※ 小数点は切り捨て

よって順位%は小数点以下の無い整数値です。

出走人数が52人で、23位ならば

  • 23 ÷ 52 x 100 = 44.23076923
  • 小数点切り捨てて 44%

となります。レース全体で見た時にどれぐらいの位置にいるか、というのが順位と違ってレース人数の大小に関わらずわかる、という面があります。シーズン中の推移など見てみるとコンディショニングに使えるかもしれませんね。

で、この順位%は AJOCC のルールにおいて「カテゴリー残留に影響する」というのが大きなポイント。該当するカテゴリーは C1, C2, C3, C4 のエリートカテゴリーと CM1, CM2, CM3 のマスターズ。残留のためのルールとして以下のようなものがあります*1。

以下の残留基準を満たさない者はシーズン終了後に降格となる。
・出走人数を基準にして1/4(25%)以内の順位 1回以上の実績を残した者
・出走人数を基準にして2/3(66%)以内の順位 3回以上の実績を残した者
なお、CL1からの降格は今期については行わないこととする。

http://www.cyclocross.jp/about/ajocc.html#rule
「カテゴリーについて その3 昇格・降格」「⑤ 残留基準について」より抜粋

ここで書いてある25%と66%が順位%のこと*2。

50人のレースならば12位(=24%)以内を取れば一発で残留決定。33位(=66%)以内ならば残留のためのチケット1枚ゲット、ということになります。

とくにC1とC2ではシーズン終盤になると残留チケット獲得あと何枚必要だ〜、といったことで遠征プランを考える選手も多いみたいですね。C1 への昇格条件も厳しくなりましたし、きちっとリザルトを取っていきましょう!

以上、走行%と順位%でした。

*1: ちなみに AJOCC のルールページには明記されていないが、シーズン中に昇格した選手はシーズン終了後の降格対象とならない。

*2: 小数点切り捨てを考えると「1/x以内の順位」という表現は厳密には正しくない?と思ったりするが、そういうもんらしい。

障害物とシケイン

さて、今回は障害物のルールを確認してみましょう。UCI ルールでは 5.1.022〜5.1.024に記述が見られます。

障害物(Obstacles)

そもそもここで言う「障害物」とはなんぞや。

人工のものと自然のものがあると思いますが、自然物についてはコースの設定で

コースは、天候などいかなる状況においても乗車可能でなければならない。(5.1.013 より)

と規定がある程度。自然のモノであれば、コース全部が砂でも良いのかもしれません(*1)。

さて、人工の障害物。人工である、という条件と

障害物とは、競技者が自転車を降りるような(しかし必ずしも降りることを要しない)コースの部分である。(5.1.023より)

というのもあります。自転車に乗車したまま超えられるフライオーバーなどは数としてはカウントされない、ということになります。

そういった障害物として該当するとなると、

  • シケイン
  • 階段
  • 人工の砂セクション
  • 人工の泥沼セクション

といったところでしょうか。BMX のデコボコは乗車していけるのでここでの障害物には含まれませんね。

さて、これらの人工障害物のルールは以下の通り。

  • 1つの障害物区間は80m以下
  • 障害物の高さは40cm以下
  • 障害物区間の総延長はコース全長の10%以下
  • 人工砂セクションは40m〜80m、最小幅6mで直線区間にあること。また、入り口と出口が水平であること。

階段自体は40cm以上になりますが、ステップの高さは40cm以下でないとダメそうですね。砂場の最後のルールについては入り口と出口の高さが同じであれば、という書き方で、フラットでなければいけないというわけでは無さそうです。登り降りする砂セクションなんてオーガナイザが面倒くさいでしょうから作らないとは思いますが… 砂セクションの最低長さの規定があるのが面白いですね。

その他の基本的なルールは以下の通り。

  • スタート区間、フィニッシュ区間には障害物を設けてはならない。(5.1.022)
  • 階段(筆者注: 英語では steps)を飛び降りるような下りを設定してはならない。(5.1.023)

*1: ただし路面が固いこと、という条件の付くスタートは除く。

シケイン

障害物といえばシケイン。

シケインルール

シケインルール

簡単に言うと、40cmほどのハードル。UCI ルール上では plank と書いてあります。JCF の和訳では厚板。

ロードレース基準の感覚ではあり得ない障害物。当然、ほとんどの選手は直前に自転車を下りて→自転車を持ち上げ→越えて→少し走って→自転車持ち上げ→越え→自転車に飛び乗る、という動作を行ないます。

バイクに乗ったままジャンプ(バニーホップ)して超えていく猛者は人気者になれるでしょう。

シケイン区間のルール以下のとおり。

  • シケイン区間はコースに1箇所のみ設けることができる(無くても良い)
  • 2つの厚板で構成されること
  • 厚板同士の間は4〜6m
  • 厚板は鋭利でなく金属製でないこと(木製が多い)
  • コース全幅であること
  • 40cm以下の高さであること
  • コースが以上に滑りやすい場合は協議の上シケイン区間を無しにできる

筆者も認識不足でしたが、厚板1枚だけのシケイン区間は厳密にはダメのようですね。関西クロスには15cm高の連続ステップがありますが、多分このシケインセクションには含まれないと思いますが、どうなんでしょう。よくわからず。

それから、2016/7/16 に追記されたルールに以下のようなモノがあります。

上記の板のどちらかまたは両方を、場合により1本または2本の木の丸太に置き換えることができる。丸太を使用する場合,最大の太さは40cm以下とする。その他の点で,板の仕様に適用可能なすべての規則は丸太にも適用されるものとする。

要するに人の手で作ったシケイン(厚板)の代わりに丸太でもいいよ、というルールです。

といっても以前から丸太とか牧草ロールみたいのは有名レースでも使用されていたようで、今回のルール追記はそれを明文化しただけだと思われます。

オーガナイザが趣向を凝らす障害物。下位カテゴリーでは特に、これらをどう攻略するかで結構差がついたりします。脚だけでは勝てないのがシクロクロスの面白いところですね。

以上、障害物のルールでした!